恋愛、友情。ときどき涙。


湊先輩は優しく微笑むと、そっとあたしの涙を拭って……優しくあたしを抱きしめた。

夏で暑いはずなのに、とても心地よくて……すごく安心した。


「……やっと言えた」


耳元で聞こえる先輩の声……。

優しくて温かくて、安心する声……。


「……ずっと言いたかった」

「……あたしもです」

「音羽」


先輩に名前を呼ばれて顔を上げると……優しくて甘いキスが降ってきた。

初めてのキス……。

ちょっとしょっぱい涙味。


それでも……すごく、すごく幸せだった。


「音羽泣きすぎ」


あたしの顔を見て先輩が笑う。


「だ、だってっ……」


止まらないんだもん……。

嬉しすぎて……。


「ホント……可愛いよな」


ボソッと先輩が何を呟いたのか聞こえなかったけど、先輩はもう一度あたしを優しくそっと抱きしめた……。


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