恋愛、友情。ときどき涙。


「あ、そうだ。海斗」

「ん?」

「今日もウチで夕飯食べてってってお母さんが」


ウチで……夕飯、ね。


「あぁ、悪いな。
今日は彰斗もいるから」

「うん。
アッキーのは大盛りにしてって頼んどくね」


やっぱり海斗には敵わない。

一緒にいる時間が明らかに違いすぎるんだから。


「矢崎、早く行くぞ。
じゃなきゃまた怒られる」

「うん。
じゃあ、先輩。失礼します」


笑顔でそう言って音羽は空と一緒に向こうへ歩いて行った。

やっぱり……先輩っていうのは距離が遠い。

俺が静かにため息をつくと、海斗も一緒にため息をついた。


「何でお前がため息なんてつくんだよ」

「先輩には分からないっすよ。
ただの幼なじみとしてしか見られない俺の気持ちなんて」


ただの幼なじみって……。


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