恋愛、友情。ときどき涙。
「だったら先輩としてしか見られてない俺の方がキツいっつーの」
すると、海斗は呆れたように大きくため息をついた。
「な……何だよ」
「先輩って鈍いっすね」
「は!?どこが!?」
「どこがって……。
そういうとこも含めて全部っすよ」
鈍いなんて生まれて初めて言われた……。
そんな鈍いかな……。
「じゃあ、もうすぐ授業始まるんで行きます」
「あぁ、またな」
歩いていく海斗の後ろ姿を見ながら思った。
今まで音羽とずっと一緒にいる海斗が羨ましかった。
でも……ずっと一緒だからこそ、俺には分からない悩みがあるのかもしれない。