恋愛、友情。ときどき涙。


……俺も教室に戻ろ。


体の向きをクルッと変えると、見覚えのある姿があった。


あれは……


「沢木」


俺が声をかけると、沢木は驚いたように振り向いた。


「ゆ、結城先輩っ!?」

「よっ」


軽く片手を挙げると、沢木はペコリと頭を下げた。

……うん、いい子だ。

ウチの後輩だったら多分両手でブンブン手を振り返してくる。


「何やってんの?」

「音ちゃん捜してるんですけど……」

「音羽?
音羽なら空と一緒に教室に戻ってったけど……」


俺がそう言うと、沢木は嬉しそうに笑った。


「ありがとうございます!」


そしてまたペコリと頭を下げると、小走りで教室の方に行った。


本当に音羽のこと大好きなんだな~……。

微笑ましく思いながら俺も自分の教室に戻っていった。


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