恋愛、友情。ときどき涙。


その日の部活終わりだった。


音羽はいつもより早く片付けを終えると、誰よりも早く着替えて帰ろうとしていた。


「矢崎、今日は随分早いな」


空が話しかけると、音羽は嬉しそうに微笑みながら答えた。


「今日は海斗と約束してるから!
じゃあね、くーちゃん!」

「また明日な」


音羽は空に手を振ると、走って体育館を出ていった。

海斗と一緒に下校ですか……。

心の中にモヤモヤとした感情が生まれる。

それが何なのかは自分でも分かってる。

分かってるけど……どうすることもできない。

正直言って……結構キツい。


俺は心の中で自分に苦笑いした……。


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