恋愛、友情。ときどき涙。


「悪かったな、ウチの後輩が」

「いえ……大丈夫です」


そっか。

バスケ部の後輩だったんだ。


「それより、ありがとうございました。
先輩のおかげで助かりました」

「俺は大したことしてないよ」


……ふと、私の目に捲っているワイシャツの袖から出ている先輩の腕が見えた。

さっき私を助けてくれたときのなのか……擦れて血が出ていた。


「せ、先輩っ……血っ……!」

「ん?あぁ、大丈夫だって。
ほっとけば治る」

「だ、ダメです!
て、手当てしないと……!」


ほ、保健室保健室!

バイ菌が入ったら大変!!


「先輩、行きますよ!」

「行くってどこに……?」

「保健室です!」

「大丈夫だって。
大したことないから……って、おい、沢木!?」


バイ菌が入ったら本当に大変なんだから!

ちゃんと手当てしなきゃ!


私はなかなか動こうとしない先輩の手を引いて保健室へ走った。


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