恋愛、友情。ときどき涙。


苦笑いしながら体育館に入ってくる部員達。


「……おい、隆やん」

「ははっ……ごめん、ごめん。
いやー……体育館に入ろうとしたらなんか良さそうな雰囲気だったからさ……こう、みんなで見守ってたってわけよ」


……そういえばもうみんなが来る時間だ。

あたしはそっと自分の胸の上に手を置いた。

……まだドキドキしてる。


「矢崎」

「くーちゃん」

「これ、お前の?」


くーちゃんが見せてきたのはピンクのハンカチ。


「違うよ。
落とし物?」

「入り口の前に落ちてたんだけど……バレー部の女子かな」


すると、さっきまで鈴木先輩と話していた湊先輩がくーちゃんの手にあったハンカチを取った。


「……これ、知り合いのだから」

「知り合い?」


くーちゃんが聞き返すと、湊先輩はあたし達から目をそらした。


「あ……いや。
……クラスメートの」


湊先輩はハンカチを取ると、そのままスタスタと他の三年生達の方に歩いていった。


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