河のむこう
あの河
一生に一度しかない、高校の卒業式。
感動のはずの卒業式にあたしは消える…
3月のある日、私は静かな音楽の流れる会場に座っていた。
みんなが泣き、悲しむなかあたしは不謹慎にも、卒業できることを喜んでいた。
となりの席の子が声をかけてくる。
「ねぇ、あなた将来何になるの?
私はね、お嫁さん♪」
この子は確か、あまりマジメな方じゃなくて、よく反省文とかを書かされていた子だよね…。
こんな子が、お嫁さん…
ふざけるのも大概にしないとねー。
「そうなんだー。相手はどんな人?」
苦笑いであたしは答えた。
「あのね、今45歳で社長さんなんだよぉ!」
しゃちょーおー?
しかも45歳って!!!!
これは、エンジョコウサイってやつじゃ…
「でねッ、専業主婦になって、毎日手料理 食べてもらうんだー☆」
てっ、手料理…!
こいつ家庭科1じゃん! ヤバいって旦那!
死ぬな旦那!生きろ旦那!
「そうなんだ…よかったね。」
また、苦笑いで返す。
話をやめて、校長の話を聞く。
さすがに長い。眠くなってしまう…
< 1 / 11 >