河のむこう
あの河



一生に一度しかない、高校の卒業式。
感動のはずの卒業式にあたしは消える…




3月のある日、私は静かな音楽の流れる会場に座っていた。


みんなが泣き、悲しむなかあたしは不謹慎にも、卒業できることを喜んでいた。


となりの席の子が声をかけてくる。


「ねぇ、あなた将来何になるの?
私はね、お嫁さん♪」


この子は確か、あまりマジメな方じゃなくて、よく反省文とかを書かされていた子だよね…。


こんな子が、お嫁さん…
ふざけるのも大概にしないとねー。


「そうなんだー。相手はどんな人?」


苦笑いであたしは答えた。


「あのね、今45歳で社長さんなんだよぉ!」


しゃちょーおー?
しかも45歳って!!!!


これは、エンジョコウサイってやつじゃ…


「でねッ、専業主婦になって、毎日手料理 食べてもらうんだー☆」


てっ、手料理…!
こいつ家庭科1じゃん! ヤバいって旦那!
死ぬな旦那!生きろ旦那!


「そうなんだ…よかったね。」


また、苦笑いで返す。


話をやめて、校長の話を聞く。


さすがに長い。眠くなってしまう…

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