†蝶鬼鈴†
はじまり



京の都。

私がここに来て、もう一週間が経っていた。

ここに来た頃の私――――緋月 静乃の第一印象は、賑やかな都だった。

たまに浪士たちの喧嘩はあるけれど、皆とても親切で、優しい。




だけど、今私が居る“夜”の京は、しん、と静まり返っていた。

京の治安は悪いと聞いている。

だから、今までは夜の行動は控え、昼のみ宿から出ていた。

だけど、今日は特別。

私は明日、この京を去るのだから。




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