†蝶鬼鈴†


彼女の顔は、初め会った時のような。

悲しみに埋め尽くされたようだった……。



「帰ろ?」

君をそんなふうに、させたのは、誰?

胸が締め付けられるような気持ちだ……。


こんな気持ち。
初めてだな


しかし、彼女は僕の望んだ言葉を言ってはくれなかった……… 



『例え、他の人が信じてくれなくても。あなただけには、信じて欲しかった。』

彼女はいっそう悲しい顔をして、僕にそう言った。


でも、僕にはその意味が分からない…。

僕は何か、疑うようなことを言っただろうか?



全く覚えがない。

「なにを言っ『しっ!ばらく。一人にして下さい。』


『私は、紗枝を傷つけてなんかいない。』





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