不良に恋する歌姫。
奴との幕開け
ただいま6時30分。
少し前まではまだ全然明るかったのに、もう暗い。
秋なんだなぁ…。
そして、少し肌寒い。
歩き出してまだ15分。
人通りの少ない場所に来た。
『…っ。』
少し、怖いな…。
そう思ってると、奥からうめき声がした。
「うぅ…。」
な、なんだ!?
何処から聞こえるんだ!?
あたしはその場に立ち止まり、目をよくこらして見る。
よく見てみると、人が倒れている。
少し近づくと、男子高生だということが分かる。
『な、なんなの?』
あたしはどうしていいか分からず、とりあえず走った。
ごめんよ…。
助けなくて。
あたし今、そんな余裕ないんです。
だって、前に進むにつれてうめき声が増していくんだもの。