あやなき恋
***
ピピピピ…ピピピピ…
遠くでアラームの音がする。
「んん…、」
私は手探りで時計を叩き、音を止める。
髪は乾かしたけど、頭からスッポリと布団を被っていたせいでぐちゃぐちゃだ。
それにお腹もグーグー鳴って
完全に目が覚めた私はカーテンを開けた。
「おはよう…」
こういう時、誰かいてくれたらなぁとは思うけど
ま、いいかな。
私は髪を手でとかしながら、台所に向かった。
お湯沸かして ゴミを出しに行く
帰りにお花に水をあげて
沸いたお湯でコーヒーを入れる
それが朝の日課だった
今日もそれは変わらず、いつものように。
お花に水をあげ終えて、バタン、と玄関のドアを閉めた
1Kの部屋には必要最低限なものしかない
前にママがここ来た時は驚いていたっけ。
「あんた本当にここに住んでるのよね」
半分呆れながら、デパートに連れて行ってもらい大分家具は増えたけど。
私はそんなことを思い出しながらコーヒーの缶を開けた、
沸かしたお湯を入れると部屋中にその匂いが漂う
今日も昨日と一緒。明日もそれに同じ。
それからパンが焼き上がるのを横目にベーコンと目玉焼きを作り、なしを半分剥く。
季節は秋。
お客様がくれたフルーツ盛りの一つ
私は簡単な朝食をテーブルに並べてテレビをつける。
朝のニュース番組
どこで事件があった、とか
芸能人が誰々と結婚した、とか
眺めながらの朝食もいつものこと。
見てるとやっぱり嫌気が差して、私がいる世界とは程遠くに感じる。
シャクっと梨をかじる。
お店にくるお客様は、よく贈り物をくださる。
「ヒナちゃんはもっとおしゃれしなきゃ」
と言って洋服やカバンをくれたり
「ちゃんと果物も食べるんだよ」
と言ってくれたこのフルーツ盛り。
お店に来るだけでもお金がかかるのに
…いつもありがとうございます!
お客様には感謝してもしきれなかった。