あやなき恋
この町には半年前に逃げてきた。
頼るも当てもなく家を出たわりに、今は幸せな暮らしをしていると思う。
ねぇ、幸せってなんなのよ。
テレビのタレントが大げさに笑ってキラキラしてて、楽しそうにしている。
私は見ていられなくて電源を切った。
隣に住んでいたおかしなおじいちゃんがいつも言っていた。
幸せの基準はお金と健康と家族、友人、恋人の人間関係だって。
たしかに。この年齢にもなればだんだん分かってきた。
私は21歳ということになっているのだから。