あやなき恋
「ありがとうございました」
それからまもなくホテルのフロントの方が到着されて、
南さんを一緒にホテルまで運んでもらうことができた。
パタンとドアを閉めて、私はため息をついた。
なんか…帰りづらくなっちゃったな。
「…私も飲み過ぎた」
ソファーにどっと座り込む。
息を吐くたびに頭がクラクラするような感覚が私を襲う。
南さん、何があったの?
私には話を聞くか、隣で笑ってることしかできないけど。
それでも役に立つなら………。
私はベッドの方を見た。
まだ頬は赤く、眉間にしわが寄るほど眉に力が入っている。
南さん、寝苦しいですか?
私は立ち上がり、ベッドに近づいた。
深い青のネクタイに手をかけ、外していく。
お店に来る時くらいゆるめてくださってもよかったのに。
私は力なく笑って、静かにネクタイを外した。
それをベッド近くのチェストに置いて、ボタンを開けようと再び手をかけた。
ふんわりと南さんの匂い…香水の、大人の匂いがする。
ワイシャツの第一ボタンを開けた時、
寝ているはずの南さんと目があってしまった。