あやなき恋
「なーにイタズラしとんのや」
南さんはゆっくり起き上がって、動けないでいる私の手を握った。
酔っ払っているせいか、目がうつろで少し怖かった。
「……ち、違いますっ!寝苦しそうだっから外しただけで…」
私の言葉に南さんは何も言わない。
そらした目線を戻すと、南さんはグッと私を引き寄せた。
「あっ!やっ、何して…」
私に覆い被さるように南さんは私の頭の横に手を置く。
「南さん…?」
返事がない。
私はおそるおそる顔を上げる。
南さん、そんな辛い顔しないでよ。
そう思った時、南さんは私の肩を掴み、顔を落とした。
一瞬、何が起きたか分からない私は、ずっと目を開いていたけど映るのは闇だけで。
唇に感じる柔らかい感触や、この背中を走るゾクッとした感覚も。
これって……。
私は今の状況をやっと把握して、南さんの肩を押し返す。
やだ……ダメだってば……。
けど、南さんは私の力では動かすことができなかった。
逆に力強く抱きしめられ、息苦しくなった私は頭がボーッとする。
くちゅり、と音を立てて、私が息を吸おうと開けた口にもっと柔らかいものが入り込んできた。
「んん…っ、ゃ」
どんなに身をよじっても南さんは力を緩めなかった。
それはさらに深まるばかりで。
目を閉じるとどこからともなく安心感が溢れだした。