あやなき恋
「何ですか」
「俺も一度行こうって思ってたんでさァ。ヒナがいるなら、Cats行ってみようかねィ…ハッハッ!」
鷹さんは私の肩をバンバンと叩いて、お店の方に行ってしまった。
まだ仕入れた魚を並べ終えていなかったんだろう。
「ゆっくり食べててくだせェ」
私はハイ!と大きく返事をして、またあら汁をすすった。
見渡せば、少し汚れた台所があって
私はお礼に使ったお茶碗を洗うことにした。
「この前掛け借りますよ」
きっと鷹さんのこだわりがあるだろうから
私は一言かけることにした。
お茶碗を下げ、お水を流していると
「洗うなら緑のスポンジにしてくだせェ」
と声が飛んできた。
「勝手にすみませんっ」
私は笑って緑のスポンジに洗剤を付けた。
きっと、生物を扱うお店だから衛生面は厳しいのだろう。
「わるいねェ…やってもらって」
空になった発泡スチロールを片付けながら鷹さんが近づいてきた。
「こちらこそ、ごちそうさまでした」
私は手を拭こうとしたら、キッチンペーパーを渡された。
「いろいろ管理が大変なんですね」
と私が言うと、鷹さんは一瞬驚いた顔したけれど、すぐに得意げそうに笑った。