あやなき恋



「つい買い込んでしまってね。すぐそこなのだけれど」



私は快く返事をした。



心のなかにスッとママが入り込んできて離さなかった。



あの感覚は今でも鮮明に思い出せるくらい。



そこからは、ここで働かないかと誘いを受けて、お礼にこの部屋まで貸してくれた。



本当にラッキーな話



ラッキーといっても、運がよかったっていう意味のラッキー



「あ、はい、もしもし」



電話はママからだった。



「ヒナ、今日ねぇ、あたしの知り合いがお昼頃から来るの。早めに来て、一緒にお相手してくれないかしら」



私は二つ返事をして電源を切った。



そうだ、髪をとかさないと。



< 4 / 55 >

この作品をシェア

pagetop