あやなき恋



「じゃあ、また来るぜィ」



それから鷹さんは仕入れがあるから、と



日付が変わると共に帰っていった。



お店が閉まるまであと一時間程度。



私はママと料理の勉強をして、今日を終えた。



「ママ、月曜日に朝比奈病院に行きませんか」



「いいけど、どうして」



「今日、鷹さんがいらっしゃったでしょう。そのお父様とママは知り合いだって。今は、お父様は入院されていて…、ママと一緒にお見舞いに行ったらきっと喜びます」



「あら、そうだったの。最近見かけないと思ったら。そうね、行きましょうか」



「はい」



私はママが切った野菜をお鍋に入れた。



今、お店で出す料理をママが一人で作っている。



前までは真紀さんが手伝っていたみたいなのだが、休暇中であるために私が代用として料理を手伝わせてもらっている。



「菜々子はおしゃべりさせておけばいいのよ」



ママは笑いながらそう言うけれど、菜々子さんだってきっと料理は上手なはず。



「この前菜々子さんの家に行ったら、調味料やらたくさんありましたよ。料理できるんじゃないんですか」



「それは私が買いなさいって言ったのよ。ヒナの家具と一緒よ。あまりにも持ってないんで、一緒に買ったの」



「え、そうだったんですか」



私は最後のお客様と楽しそうにお話している菜々子さんをじっと見た。



「だから菜々子は毎日ヒナのとこでご飯食べてるんじゃないの」



「それは…」



私の安全を確認するために来てくれているからで…。



そう思いながら菜々子さんを見ていると



「ヒナ~!おかわり!」



私はママと顔を見合わせて笑った。



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