あやなき恋
お店の雰囲気がガラッと変わった。
「新人さんなんやろ。またママは可愛ええ子ばっか連れてきよって」
「こんな大きい人にまじまじ見られたらヒナがかわいそうでしょ」
ママは南さんに飲み物を注ぎながら苦笑した。
「素直な子なんですよ…若いのにしっかりしてるし。最近じゃあヒナ目当てのお客さんも増えてるんですよ」
ママは自慢気に言って、私にウィンクした。
「せやなぁ。オレなん惚れてまいそうや」
「そんなこと」
「ま、ヒナちゃんなんこないなオッサンより若い方がええやろ」
「南さん、今いくつでしたっけ」
ママが私にお茶を差し出して南さんに質問した。
「もうすぐ30や。はよ落ち着かんとなぁ…はは」
「あらあら、もうそんなになりますか」
クスクス笑うママと南さん。
「ヒナちゃんはいくつなん」
「21です」
「若いなぁ~!うらやましいこっちゃ」
「南さんみたいな大人の男性って憧れます」
「ははは!よいしょも上手いやなぁ、ヒナちゃんは。ほんなら、店開けてぇやママ。ヒナちゃん指名したるよ」
「はい分かりましたよ。ヒナ、着替えてらっしゃい」
「ありがとうございます。じゃあ、一旦戻って、ちゃんと支度してきますので」
私は椅子を引き、そこから降りて南さんに小さくお辞儀をした。