ドッペルゲンガー ~怪事件捜査倶楽部~。
やっぱり、殺す?
でも、これ以上は……。

――ナニイッテルノ?
アンタハモウ、フタリモコロシテンダヨ?
モウヒトリクライ、ワケナイサ。

――だけど――。
呉野は、友達だし、もしかしたら私のこと、本気で心配してくれてるんじゃないかな?

――ソンナノハ
タダノ、タテマエダネ!!
キット、真相ヲハナシタラ「ケイサツニ行コウ!」ッテ連レテ行カレテ、ソノ後ハ、ミンナノ、ネタニ言イフラサレル。

「エノキッテ、コンナコト考エテタンダッテ!」
「エノキッテ、――ダッタンダッテ!」
「エノキッテ、ソンナ理由デヒト殺シタンダッテ!」
「バカダネ!」
「クズダネ!」
「アンナヤツハ死ンダアホウガ良イノサ!」

「アンナヤツハ――イラナイヨ――」

ゼ~ンブバラサレタ挙句、罵ラレテ、ポイッ!!サ。
ソレニサ、捕マリタクないジャナイ。
少年院ニ入レラレテ、何年カカル?
私ノ将来、ドウナル?
全部オ終イニナッチャウ。

――ソレニネ――アノコロニモドリタイノ?

……そんなのイヤ。

自問自答を繰り返して、私は部屋の天井を見上げた。明かりをつけていない部屋は、窓からの光しか入らずに薄暗い。
本来白い天井が、灰色になっていた。いつの間にか、夜が深まっていたんだと、その時になって気づいた。
そんな灰色の天井を見ていると、ふと、想いがこぼれた。

――ああ、拳銃が今、手元にあれば良いのに。

あの時の、あの感触が忘れられなかった。
背中を押した時の、あの重量感、あの高村の最後の声……。
日吉の肉体を刺した時の、あの、感触。ズブ、という音と、何とも言えない、やわらかさ。
でも、鉄が骨にあたるのが、手に届いて、自然と震え出す

――あの恐怖。

遠距離からなら、拳銃なら、あの感触を感じなくて済む。
だから拳銃が、欲しいと思った。
だけど無理、だって早めに、始末しなくちゃ――。

このときの私の目は、きっと虚ろだったんだろうと思う。心が空になるのを私は知らないふりをした。
それから私は計画を練った。
練り終わると、呉野の家の近くの廃ビルに下見に行った。ヤンキーがバイクで出かけていくのを外で待って、計画を試してみた。
――案の定、出来た。
あとは、時が過ぎるのを待つだけ。
私はいったん家に帰り、眠りに着いた。

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