ドッペルゲンガー ~怪事件捜査倶楽部~。
屈辱よ! 侮蔑よ! と、あかねは怒をあらわにする。しかしその瞳の奥で、要への心配の色がにじみ出ていた。

その瞳を見て、要は「かなわんなぁ……」と呟いた。

「知ってた? あたしってば秘密の宝庫よ! 隠し事とかしたくなるタイプなわけさ」

「そんなんとっくに知ってるぜ」

「何を言い出すかと思えば、って感じね」

「うん……そうだね」

呆れたように秋葉とあかねは言うと微笑む。由希も軽く頷きながら、ニコリと笑った。

その様子を見て、要は照れ笑いを浮かべる。その笑いを隠そうと、顔をそむけた。そしてちょっとだけ悪態をついてみせた。

「――ビビんなよ!」

紙パックを両手に持ちながら、要は静かに語り始めた。

「あのサイトは、ハッカーが集まるサイトでさ。チャットとか、もちろんハッカー同士のチャットなんだけど、があってさ。あとは、自分がどんだけハッカーとして凄いのか自慢したい人のために、その人が盗んだ映像とか画像とか、話とかを載せたりするんだ。あたしらが今見てる画像はそのサイトの製作者がハッキングしたやつ。ちなみにあのサイトはハッカーしか入れないようになってる」

「ってことは、要も?」

「エレスコレクート!あかねは鋭いねぇ!」

「ていうか、ここまで言われれば普通分かるわ」

「要も、なんだ??」

「なに、秋葉アンタ分かんないの!?」

呆れたようにあかねが言うと「悪いかよ!」とあかねを睨む。

「由希、お前は分かったか?」

同意を求めるような秋葉の瞳に遠慮しながら由希は答えた。

「う、うん、何となくは」

「つ~ま~りっ!あたしはハッカーってことさ!鈍いなぁ、秋葉は」

そう暴露して要は苦笑した。

「まっ、情報は全てハックしてたってわけじゃないんだけどね」

「そうなの?」

意外そうにあかねが聞くと、要は数回頷いた。由希も意外そうな顔をして腕を組む。

「極力ハッキングはしないようにしてるんだ。あたしは好奇心がウズいてしょうがない時たまにやるだけで、後はあのサイト見て情報収集したりするんだけど、学校の連中の秘密は黙ってても入ってくるもんなんだよ。あたし聴覚、驚くほど良いから」

そう言って自分の耳を指でポンポンと叩くと、秋葉はやっと理解したのか、ずれた声をあげた。

「な~るほど!」

しら~。とした目であかねが見て、要と由希は苦笑して笑みを浮かべる。少し気恥ずかしそうに、秋葉が「ごほん!」と咳払いをすると、要が話を区切った。

「まあ、あたしの話はそこまでにして、いいかげん画像見てくれない?」

要は画像を指差しながらまた苦笑した。
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