ドッペルゲンガー ~怪事件捜査倶楽部~。
その画像は、人はたくさんいるが、右側のホームに集まって線路を覗いて見ているので、もう片方左側のホームは数人しかいなかった。

「例のあれは、コレだ」

要が指をさした場所には少女と思われる人物の後ろ姿が映っていた。

皆が線路や、右側のホーム下を覗き込んでいる中、その少女は改札口や他のホームへと向う階段を下ろうとしていた。

三人が少女を見たのを確認すると、要はその少女だけを拡大してみせた。

その少女の服装は、セーラー服のようだった。目を凝らしてよく見ると襟に蝶々のような鳥のようなマークがついている。

髪型は、映像がぶれていて良く見えない。セミロングにも、ショートにも見えるし、縛っているようにも見える。身長は人に紛れてよく分からなかった。階段を下りた所なのかも知れないし、下りる前なのかも分からない。

「確かに、ウチの制服によく似てるわね」

「だしょ!」

「ウチの制服にもココにマークついてるしな。しかも蝶々の」

画像の少女を指差しながら秋葉が言うとあかねは冷静に意見を述べた。

「でも、この子が殺人犯なのかしら? 駅員を呼びに行ったとは考えられない?」

「お前、今さっき「確かに似てるわね」って言ってなかったか?」

「言ったわよ。似てるとは思うけど、殺人事件だって断定するのはどうかって言ってるのよ。まったく頭廻らないんだから秋葉は!」

「何だと!?」

「何よ?」

「ああ!ハイハイ、今は痴話ゲンカしてる場合じゃないっしょ」

二人の睨み合いから、ケンカに発展する前に要が止めた、しかし『誰が痴話ゲンカだ!!』と、もの凄い剣幕で二人に怒鳴られたので、要は肩をすくめて顔をそらし「べえ」と舌を出す。

「まあ良いわ」

ぼやいてから、あかねは「で、どうなの?」と要に尋ねた。

「駅員を呼びに行ったって事はまず無いね」

「どうしてよ?」

「実際、駅員を呼びに行ったのは中年の男性だったのよ。ニュースでもやってたでしょ?」

「あっ!」

何かを思い出したらしくあかねは口に手をあてて気まずそうな顔をした。

「確かにやってたわね。忘れてたわ」

「バーカ」

秋葉のぼやきが聞こえて「何ですって!?」とがなろうとしたあかねに「止めなさい」と要がけんせいを投げかけた。

「とりあえず、意見を言いあお!」

その場を要が取り仕切ると、意見に賛同する声が上がる。

「そうね」

「だな」

「……うん」

先陣を切ったのは秋葉だ。

「じゃ、俺から言わせてもらうな。テレビでさ、駅員を呼びに行ったっていうオヤジが取材をうけてんのを、そういえば見たことがあるなって思い出したんだ。そん時は全然気にとめてなかったんだけど「死亡した少女は友達と一緒に駅に来ていたみたいだった」って言ってたんだ。取材陣もその事はあんまり気にしてなくて、「受験勉強の疲れで貧血を起こしたんじゃないか」って話してた」

「どうして友達ときてたって分かるのかしら?」

「ん~、だよね。由希はどう思う?」
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