ドッペルゲンガー ~怪事件捜査倶楽部~。
あかねの謎の言葉を残し、一同はいったん部室に戻ることにした。
その途中で、由希と秋葉はあかねに渡された紙切れを見せてもらった。
そこには『オヤジの名前は 新堂勇次。新堂が取材を受けたのは にちゆう日夕テレビ ゴーゴーGOGOニュース もり森のもり森テレビニュース あさつき朝月ニュース 朝だよ!夜もだよ!ニュース! 新堂のTELL番 090―xxx―〇〇〇』と書かれていた。
部室に戻るとすぐにあかねに注目が集まった。
その視線の意味を悟って、あかねは話を切り出す。
「あのね、実は、新堂さんが見たのはアップの子だって言ったじゃない? だけど新堂さんの同僚の人が、ああ、新堂さんは同僚と途中まで一緒に来ていたらしいの、でもタバコ買ってから行くって言って、新堂さんより遅れて来たんだけど、その同僚も高村先輩と友達を見たって言うのね。だけど高村先輩と話していたのは、アップの子じゃなかったって言うのよ」
「えぇ?」
「あぁ!?」
要と秋葉があからさまに怪訝な顔をした。
その顔を無視して、あかねは続きを話し始める。
「しかもね! 新堂さんが見た時は、普通に話をしていたんだけど、同僚が見た時には高村先輩の顔が言い争ってるみたいだったんだって。相手の顔は見えなかったみたいなんだけど、髪型はショートっぽかったって」
「ん~……なるほどね……」
要が苦悩の表情を浮かべながら呟くと、あかねは「それだけじゃないのよ!」と言って人差し指を三人の顔に近づけた。
「他の同僚もいたらしいんだけど、その同僚が、アップの子とショートの子が高村先輩と話す前に二人で話しているのを見たらしいのよ!」
「正確なの?」
要が真剣に聞くとあかねは頷きながら答えた。
「みたいよ。話にくいからショートの子を見たっていう同僚を【同僚1】ショートとアップを見た同僚を【同僚2】とするわね。新堂さんと【同僚1】が互いに見た子の話をしていると、そこに【同僚2】が話に割り込んできて、話し込んだんですって、おかしいなって思って。なぜかっていうと、目撃されてから数分の間に人が代わっていたから! 【同僚2】が二人を目撃したのが4時32分頃。なぜ時間が分かるかというと、二人の頭の上に時計があったからで、【同僚2】は時計を見ようとして偶然二人を見たんだって。【同僚1】も目撃したのはその理由から、らしいわ。でも、新堂さんが目撃したのは時計近くのトイレの前で、時間は4時36分ぐらい。トイレに入る前に見たらしいから正確だと思うわ。そして【同僚1】が目撃した時間は4時40分頃だって。」
「事故があったのは確か4時43分頃だろ?」
「だね。あの電車は10分ごとに来るから、それは正確でしょう。【同僚2】は4時33分の電車に間に合ったの?」
「ええ。だから事件の事はニュースで見るまで知らなかったらしいのよ」
「なるほど、なるほど」
要は繰り返し呟いてから「よし!」と膝を叩いた。
「それらしい人がいないか、ハッキング(調べて)してみるわ」
その言葉に、あかねは強く反対する。
「ちょっと、犯罪よ!」
「悪を裁くには、多少の悪も必要さ♪」
軽く言って笑う要に、あかねは強く首を横に振った。
「……ダメ、絶対ダメ!!」
「あかね、だからお前、頭固い石頭って言われんだよ」
秋葉が静かにぼやくと、あかねの眉がピクリと動き、眉間にシワが寄った。
「私は、石頭でも、頭が固くもないわ、よ!」
静かに、怒りを込めて絞り出された言葉と表情を、秋葉は静かに受け流した。
「じゃあ、ちょっとの悪くらい見逃せるよなぁ。子供のいたずら悪戯としてさ」
「エエ!!全然出来ますとも!!」
「はい。けって~♪」
手をパンパンと叩きながら、秋葉は勝ち誇った笑みをこぼした。
そんな秋葉をよそにあかねは一瞬、顔をしかめて、軽く唇を噛んで不安そうな表情をした。
そんなあかねの表情を見逃さなかった要はあかねをただ見つめ、由希は心配そうにあかねの瞳をじっと見つめた。
その途中で、由希と秋葉はあかねに渡された紙切れを見せてもらった。
そこには『オヤジの名前は 新堂勇次。新堂が取材を受けたのは にちゆう日夕テレビ ゴーゴーGOGOニュース もり森のもり森テレビニュース あさつき朝月ニュース 朝だよ!夜もだよ!ニュース! 新堂のTELL番 090―xxx―〇〇〇』と書かれていた。
部室に戻るとすぐにあかねに注目が集まった。
その視線の意味を悟って、あかねは話を切り出す。
「あのね、実は、新堂さんが見たのはアップの子だって言ったじゃない? だけど新堂さんの同僚の人が、ああ、新堂さんは同僚と途中まで一緒に来ていたらしいの、でもタバコ買ってから行くって言って、新堂さんより遅れて来たんだけど、その同僚も高村先輩と友達を見たって言うのね。だけど高村先輩と話していたのは、アップの子じゃなかったって言うのよ」
「えぇ?」
「あぁ!?」
要と秋葉があからさまに怪訝な顔をした。
その顔を無視して、あかねは続きを話し始める。
「しかもね! 新堂さんが見た時は、普通に話をしていたんだけど、同僚が見た時には高村先輩の顔が言い争ってるみたいだったんだって。相手の顔は見えなかったみたいなんだけど、髪型はショートっぽかったって」
「ん~……なるほどね……」
要が苦悩の表情を浮かべながら呟くと、あかねは「それだけじゃないのよ!」と言って人差し指を三人の顔に近づけた。
「他の同僚もいたらしいんだけど、その同僚が、アップの子とショートの子が高村先輩と話す前に二人で話しているのを見たらしいのよ!」
「正確なの?」
要が真剣に聞くとあかねは頷きながら答えた。
「みたいよ。話にくいからショートの子を見たっていう同僚を【同僚1】ショートとアップを見た同僚を【同僚2】とするわね。新堂さんと【同僚1】が互いに見た子の話をしていると、そこに【同僚2】が話に割り込んできて、話し込んだんですって、おかしいなって思って。なぜかっていうと、目撃されてから数分の間に人が代わっていたから! 【同僚2】が二人を目撃したのが4時32分頃。なぜ時間が分かるかというと、二人の頭の上に時計があったからで、【同僚2】は時計を見ようとして偶然二人を見たんだって。【同僚1】も目撃したのはその理由から、らしいわ。でも、新堂さんが目撃したのは時計近くのトイレの前で、時間は4時36分ぐらい。トイレに入る前に見たらしいから正確だと思うわ。そして【同僚1】が目撃した時間は4時40分頃だって。」
「事故があったのは確か4時43分頃だろ?」
「だね。あの電車は10分ごとに来るから、それは正確でしょう。【同僚2】は4時33分の電車に間に合ったの?」
「ええ。だから事件の事はニュースで見るまで知らなかったらしいのよ」
「なるほど、なるほど」
要は繰り返し呟いてから「よし!」と膝を叩いた。
「それらしい人がいないか、ハッキング(調べて)してみるわ」
その言葉に、あかねは強く反対する。
「ちょっと、犯罪よ!」
「悪を裁くには、多少の悪も必要さ♪」
軽く言って笑う要に、あかねは強く首を横に振った。
「……ダメ、絶対ダメ!!」
「あかね、だからお前、頭固い石頭って言われんだよ」
秋葉が静かにぼやくと、あかねの眉がピクリと動き、眉間にシワが寄った。
「私は、石頭でも、頭が固くもないわ、よ!」
静かに、怒りを込めて絞り出された言葉と表情を、秋葉は静かに受け流した。
「じゃあ、ちょっとの悪くらい見逃せるよなぁ。子供のいたずら悪戯としてさ」
「エエ!!全然出来ますとも!!」
「はい。けって~♪」
手をパンパンと叩きながら、秋葉は勝ち誇った笑みをこぼした。
そんな秋葉をよそにあかねは一瞬、顔をしかめて、軽く唇を噛んで不安そうな表情をした。
そんなあかねの表情を見逃さなかった要はあかねをただ見つめ、由希は心配そうにあかねの瞳をじっと見つめた。