ドッペルゲンガー ~怪事件捜査倶楽部~。
――放課後。

「ああ~これで振り出しに戻る……かぁ!」

「何か有力な情報ないの要?」

「ないから振り出しに戻るって言ったんじゃん。あかねはワガママだなぁ」

「なんですって!?」

あかねが怒鳴り声を上げると同時に、勢い良く部室のドアが開いた。

「お~い! そういえばさ、思い出したんだよ!」

「秋葉、まだ部活中じゃないの?」

驚いて聞いたあかねに、秋葉は二カッと笑う。

「抜け出してきた! 思い出してな」

「何を?」

怪訝そうに要が聞くと、秋葉は興奮気味に勢い良くまくしたてた。

「それがさ、二日くらい前に聞いた話だったんだけど、全然興味ねぇから忘れてたんだけどよ、事件の事色々思い起こしてたら思い出したんだ、先輩達が話してたコト!」

「どんなこと?」

興味津々に由希が聞く。ただし、声は小さかった。

「あのな、バスケ部の日吉先輩の話なんだけど、あの人、高村先輩とはワリと仲が良かったらしいんだ。自殺した皆元先輩いたじゃん? あの人とも仲が良かったみたく思われてたけど、実は仲が悪かったんだと。ていうか、誰も見てないとこでイジメてたらしい。しかも、美術準備室に一緒に入ったって前言っただろ? あれは実は、入ったんじゃなくて、皆元先輩一人を閉じ込めてたらしいんだ。数時間して、誰かが助け出したらしんだけど、日吉先輩の名前は言わなかったらしいぜ」

「じゃあ、何で分かるのよ?」

あかねが怪訝に言うと、秋葉は肩をすくめながら答えた。

「それがな、見ていたやつがいるんだと」

言って、呟く。

「ゲスなやつだな」

そんな秋葉を見つめながら、要は思った。

(そもそも秋葉をムリにでも引き入れたのは、運動部だと色々と噂好きの方々がいるから情報も入りやすいから。まあでも良く考えてみれば、秋葉は興味ない事はすぐに忘れちゃうんだったのよねぇ~。良かったわ! 興味持ってくれて!)

そう思ってほくそえんだ要に向って、消しゴムの欠片が飛んで来て コツン とオデコに命中した。

誰だ!? と辺りを見回したが、あかねと秋葉は会話に夢中、由希は筆箱を出してペンを指でクルクル回して遊んでいた。

それらを見て要は(ふ~ん……)と心の中で妙な納得をした。
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