ドッペルゲンガー ~怪事件捜査倶楽部~。
――美術室前・廊下――

「ねえ要、ほんとに開くの?」

あかねが不信そうな顔をして聞くと要は「さあね!」とさらりと受け流すように答えた。

「え?ちょっと「さあね」って!」

「それを確かめにきたんじゃない!」

キッパリと言う要に秋葉がぼそっとぼやく。

「そんなもっともらしいこと言って……」

「何か言った?」

そのぼやきを聞き逃さなかった要は秋葉を軽くにらみ付けた。

(―-地獄耳!)

「あ~……そういやあ由希のやつついてきてんのか?」

「秋葉、今アンタ話逸らしたでしょ? 大丈夫よ!ちゃんとついてきてるわよ。薄情者のアンタ達と違って置いて行ったりしません!このあかねちゃんは!!……まあでも、だいぶ後ろの柱の影にかくれてるけど……」

「本当怖がりだよな。でも、薄情ってなんだ薄情って!!あかねだってこんなところに由希連れてきたらかわいそうだろ!?」

「バカね!教室に一人残す方がかわいそうでしょ!?」

二人が言い合いをしている最中、毎度恒例と言うように、要は二人を無視しながらズンズン廊下を歩いて行き、美術室の扉を開けた。

  ――ガラリ

「ちょ、ちょっと待って!」

扉の開く音がして、あかねは言い合いを止めて、慌てて要を止めた。

「何でわざわざ美術室に入るのよ? そこに美術準備室のドアあるじゃない!」

あかねが指を指した場所は美術室の隣にあるドアだった。

そこは薄暗く、その先は行き止まりになっている。

校舎の一番端に位置し、教室の正面に木があるため、日があまり当たらない場所、そこが美術準備室。

だが、美術室には日が当たっており、それも七不思議と言われているが、それはただ単に、木が美術室には届いていないだけなのだ。

「何でって……美術準備室のドアから入って先生に見られたらどうすんのよ?美術室から入っとけば「ああ美術室に用があるのね」ってなるじゃん!」

「そうかなぁ?」

「そうなの!さあ!いっくよ~!!」

意気込んで要は美術室のドアを開けた。

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