ドッペルゲンガー ~怪事件捜査倶楽部~。
暫くして戻ってきた要に、不謹慎だと言わんばかりにあかねが叱責した。
「どこ行ってたの!?」
「あ~ごめんごめん、ちょっと電話」
軽いノリの返答に「もう!」とあかねは憤慨する。
「ちょっと様子見てきたほうがいいかな?」
「あ~!止めといた方がいいよ」
「なんでよ?」
「誰だってゲロってるとこなんか聞かれたくないでしょ?」
要のこの発言にあかねは「汚いこと言わないでよ~!」と怒ったが、秋葉は「そりゃそうだ!」と笑った。
そんな会話から10分くらいして、由希がふらふらとトイレから出てきた。
「大丈夫?」
あかねが心配して駆け寄ると、由希はにこりと笑った。
「大丈夫だよ。もう、平気」
そう言って自分の腕を組むようにして触る。
そんな由希を要はじっと見つめ、その視線に気づいた由希は要を見つめ返した。
すると突然怒鳴り声が辺りに響き渡った。
「コラ! お前らそこで何やってんだ!?」
驚いたあかねと秋葉は素早く振り返り、由希と要はゆっくりと前を向く。
するとそこには警官が二人立っていた。
それを見た由希は条件反射で素早く掌を閉じた。
「ここは入っちゃいけないんだよ!」
「は~い。すみませ~ん」
「ご、ごめんなさい」
そう言って、要と由希はテープの中から出た。
「ったく! キミ達ココで何してたの?」
「すみません、お巡りさん。珍しいなって見ていたら、友達が悪ふざけで入ってしまって」
しおらしく振舞うあかねをシラ~とした瞳で一瞬三人は見つめた。
「そうなんですよ! すみませんでした!」
「ご、ごめんなさい……」
要と由希があかねに便乗すると秋葉も「後で叱っとくんで!」と言って、要と由希の肩を引いて出口方面に押し出した。
そのまま由希を除く三人は「ははは」と苦笑しながら歩き出した。
公園を出ると秋葉とあかねは「ふう~」とため息をこぼす。
すると何かに気づいたように、あかねは はっ! となる。
「ねえ!由希、まだ変な物体持ってるんでしょう? さっきの警察官に渡さなくて良いの?」
「良いの良いの」
由希に変わって要が答える。
「良いのって――」
あかねが何か言おうとすると、秋葉が「別にイイじゃん」と気楽に言う。
「それより入った時とか警官に見られなくて良かったな」
「まあ、そうよね。でも、どうして警察がいなかったのかしら?」
あかねがそう言って考え込んでいると、由希はニコリと笑った。
「……要ちゃんでしょ?」
その言葉に、要は目を丸くして驚く。
「よくわかったね由希!」
「何、どういうこと?」
あかねが怪訝そうに聞くと、要は得意げに答えた。
「実は、どうしても調べたくなってこの現場に行ったんだ。でもその時まだ警察が現場検証しててね。しかも取材陣がワラワラいてさ。でも、そこでピンッと閃いたのだ!警察と取材陣が減るのを待ってから、家から下剤を持って来て、コッソリお茶に下剤入れちゃえ! って。んで戻ったら丁度あの警官二人残して警察と取材陣が引きあげて行くとこでさ、あらかじめのホームレスの格好してたから、茂みに隠れて簡単に入れられたよ」
そう、えっへん。と胸を張る要をまじまじと見つめながら、秋葉とあかねは絶句した。あかねの口からやっと出た言葉は
「……凄い事するのね」だった。
コホンと咳払いをして、あかねは気持ちを切り替えた。
「さっきの現場に関して聞きたいわ。あと、私昨日思いついた疑問があるの。部室に行ったら聞いてね」
「分かった。……じゃ、さっきの現場について、話すね。私があの現場の事を知ったのは、深夜、3時頃だった。例のあのサイトを見てたら、目に飛び込んで来たの。それでいてもたってもいられなくなって、現場に行ったんだけど、まだ警察がいて……まあ、それは、さっき話したので、良いとして。あの現場はね……ある、一人の少女が刃物で刺された場所なの。刺されてすぐにあの公園のホームレスが見つけて救急車を呼んでくれたんだけど、刺された場所が場所だっただけに……助からなかったみたい」
「そんな事があったのか……」
「驚くのはこれからだよ秋葉。実はその殺された女の子が――日吉淳子だったのよ!」
「どこ行ってたの!?」
「あ~ごめんごめん、ちょっと電話」
軽いノリの返答に「もう!」とあかねは憤慨する。
「ちょっと様子見てきたほうがいいかな?」
「あ~!止めといた方がいいよ」
「なんでよ?」
「誰だってゲロってるとこなんか聞かれたくないでしょ?」
要のこの発言にあかねは「汚いこと言わないでよ~!」と怒ったが、秋葉は「そりゃそうだ!」と笑った。
そんな会話から10分くらいして、由希がふらふらとトイレから出てきた。
「大丈夫?」
あかねが心配して駆け寄ると、由希はにこりと笑った。
「大丈夫だよ。もう、平気」
そう言って自分の腕を組むようにして触る。
そんな由希を要はじっと見つめ、その視線に気づいた由希は要を見つめ返した。
すると突然怒鳴り声が辺りに響き渡った。
「コラ! お前らそこで何やってんだ!?」
驚いたあかねと秋葉は素早く振り返り、由希と要はゆっくりと前を向く。
するとそこには警官が二人立っていた。
それを見た由希は条件反射で素早く掌を閉じた。
「ここは入っちゃいけないんだよ!」
「は~い。すみませ~ん」
「ご、ごめんなさい」
そう言って、要と由希はテープの中から出た。
「ったく! キミ達ココで何してたの?」
「すみません、お巡りさん。珍しいなって見ていたら、友達が悪ふざけで入ってしまって」
しおらしく振舞うあかねをシラ~とした瞳で一瞬三人は見つめた。
「そうなんですよ! すみませんでした!」
「ご、ごめんなさい……」
要と由希があかねに便乗すると秋葉も「後で叱っとくんで!」と言って、要と由希の肩を引いて出口方面に押し出した。
そのまま由希を除く三人は「ははは」と苦笑しながら歩き出した。
公園を出ると秋葉とあかねは「ふう~」とため息をこぼす。
すると何かに気づいたように、あかねは はっ! となる。
「ねえ!由希、まだ変な物体持ってるんでしょう? さっきの警察官に渡さなくて良いの?」
「良いの良いの」
由希に変わって要が答える。
「良いのって――」
あかねが何か言おうとすると、秋葉が「別にイイじゃん」と気楽に言う。
「それより入った時とか警官に見られなくて良かったな」
「まあ、そうよね。でも、どうして警察がいなかったのかしら?」
あかねがそう言って考え込んでいると、由希はニコリと笑った。
「……要ちゃんでしょ?」
その言葉に、要は目を丸くして驚く。
「よくわかったね由希!」
「何、どういうこと?」
あかねが怪訝そうに聞くと、要は得意げに答えた。
「実は、どうしても調べたくなってこの現場に行ったんだ。でもその時まだ警察が現場検証しててね。しかも取材陣がワラワラいてさ。でも、そこでピンッと閃いたのだ!警察と取材陣が減るのを待ってから、家から下剤を持って来て、コッソリお茶に下剤入れちゃえ! って。んで戻ったら丁度あの警官二人残して警察と取材陣が引きあげて行くとこでさ、あらかじめのホームレスの格好してたから、茂みに隠れて簡単に入れられたよ」
そう、えっへん。と胸を張る要をまじまじと見つめながら、秋葉とあかねは絶句した。あかねの口からやっと出た言葉は
「……凄い事するのね」だった。
コホンと咳払いをして、あかねは気持ちを切り替えた。
「さっきの現場に関して聞きたいわ。あと、私昨日思いついた疑問があるの。部室に行ったら聞いてね」
「分かった。……じゃ、さっきの現場について、話すね。私があの現場の事を知ったのは、深夜、3時頃だった。例のあのサイトを見てたら、目に飛び込んで来たの。それでいてもたってもいられなくなって、現場に行ったんだけど、まだ警察がいて……まあ、それは、さっき話したので、良いとして。あの現場はね……ある、一人の少女が刃物で刺された場所なの。刺されてすぐにあの公園のホームレスが見つけて救急車を呼んでくれたんだけど、刺された場所が場所だっただけに……助からなかったみたい」
「そんな事があったのか……」
「驚くのはこれからだよ秋葉。実はその殺された女の子が――日吉淳子だったのよ!」