ドッペルゲンガー ~怪事件捜査倶楽部~。
要はお守りのヒモを持ち、見上げる形でお守りを睨んだ。
「こんなどこにでも売ってるようなお守りじゃ、誰のか何て分かんないよ」
「ねえ、要、指紋検査って出来ないかしら?」
言ったのはあかねで、要はお守りを持ちながら、あかねを仰ぎ見る。
「指紋検査?」
「ええ、そのお守りの」
「それは無理だねあかね」
「何でよ?」
不審そうに顔を傾けるあかねに、要は椅子にもたれかかるように背伸びをして答える。
「だって、このお守り洗っちゃったんだよ? 指紋なんかとっくに消えてるよ。あるのはうちらの指紋くらいじゃない?」
「そっか、それもそうよね。っていうか血液検査とかもあるんだから、やっぱり警察に渡しておくべきだった――」
「今更でしょ~」
あかねの言葉を途中で遮った要に、あかねは「もう!」と息を吐いた。
どうやら要は、こっそり指紋採取や血液採取をしたことを仲間に言うつもりはなさそうだった。今はまだ――なのだろうか。
そんな要の手にあるお守りを、秋葉が取り上げて、お守りに書いてある文字を声に出して読み上げた。
「未奈月神社・合格祈願」
言って秋葉は、適当に頷く。
「受験生の誰かじゃね? 1年か3年だな」
「秋葉、適当なこと言わないでよ! それだったら2年生だって考えられるわ。高校受験
の時の物を捨てずに取っておく人だっているもの」
「現にココにな。お前まだ、あれ持ってんだろ?」
「あら、持ってちゃいけないのかしら?」
あかねがすまして言うと、秋葉は呆れた。
「普通は神様に「ありがとう」って返しに行くもんだろ。それをしに行かないのは〝連次〟クンに貰った物だからか? あんな男に貰った物、よく持ってられんなぁ、俺だったら即捨てるね! 絶対!」
「うるさいわね! 私は〝思い出の品〟として持ってるのよ!」
ふん! とそっぽむくあかねに、要は「あ~あ」と頷く。
「何の話かと思ったら、あの中学の時有名だった〝プレイボーイ連次〟の話ね。あの時は大変だったよね、あかね~♪」
「なに?」
「ああ、由希は知らないんだっけ。中学別だもんね」
「由希は高校からのダチだもんな」
首を傾げる由希に、要は「あのね、実はね~」とにんまりと笑うと、あかねが顔を紅くし、慌てて要の前に立ちはだかった。
「ちょ!やめなさいよ要!! 由希、こんな話し聞かなくていいから!」
言って振り向いたあかねの隙を突いて、要はまたにんまりと笑う。
「秋葉、あかねをおさえろ!」
「あいあいさ~!」
号令を受けた秋葉が、あかねの後ろから抑えて口を塞いだ。
あかねの体をよけて覗くようにして、要は由希に向かって必要以上に大きな声で言う。
「あのね、中学の時にね――」
「(やーめーてー!)」
あかねはの叫びは言葉に成らず、結局赤っ恥を由希に知られる事になった。
その赤っ恥とは、外面は良く、顔も美人なあかねは中学の時中々モテた。しかし、特に「付き合う」ということに意味を見出さなかったあかねはことこどくふりつづけた。
そんな中、連次くんだけは何度も何度もあかねにアタックし続け、あかねも次第に彼を好きになり付き合う事にしたが、わずか5ヶ月で破局。
実は連次くんは、たんなるアッタックマニアで、数々の女性にアタックしてはモノにし、モノになると興味がなくなるという最低のプレイボーイだったのである。
「ああ、もう最悪!」
頬を真っ赤に染めながら、あかねはうなだれた。
「まあまあそれも思い出ってね♪」
「うっさいわよ!」
「こんなどこにでも売ってるようなお守りじゃ、誰のか何て分かんないよ」
「ねえ、要、指紋検査って出来ないかしら?」
言ったのはあかねで、要はお守りを持ちながら、あかねを仰ぎ見る。
「指紋検査?」
「ええ、そのお守りの」
「それは無理だねあかね」
「何でよ?」
不審そうに顔を傾けるあかねに、要は椅子にもたれかかるように背伸びをして答える。
「だって、このお守り洗っちゃったんだよ? 指紋なんかとっくに消えてるよ。あるのはうちらの指紋くらいじゃない?」
「そっか、それもそうよね。っていうか血液検査とかもあるんだから、やっぱり警察に渡しておくべきだった――」
「今更でしょ~」
あかねの言葉を途中で遮った要に、あかねは「もう!」と息を吐いた。
どうやら要は、こっそり指紋採取や血液採取をしたことを仲間に言うつもりはなさそうだった。今はまだ――なのだろうか。
そんな要の手にあるお守りを、秋葉が取り上げて、お守りに書いてある文字を声に出して読み上げた。
「未奈月神社・合格祈願」
言って秋葉は、適当に頷く。
「受験生の誰かじゃね? 1年か3年だな」
「秋葉、適当なこと言わないでよ! それだったら2年生だって考えられるわ。高校受験
の時の物を捨てずに取っておく人だっているもの」
「現にココにな。お前まだ、あれ持ってんだろ?」
「あら、持ってちゃいけないのかしら?」
あかねがすまして言うと、秋葉は呆れた。
「普通は神様に「ありがとう」って返しに行くもんだろ。それをしに行かないのは〝連次〟クンに貰った物だからか? あんな男に貰った物、よく持ってられんなぁ、俺だったら即捨てるね! 絶対!」
「うるさいわね! 私は〝思い出の品〟として持ってるのよ!」
ふん! とそっぽむくあかねに、要は「あ~あ」と頷く。
「何の話かと思ったら、あの中学の時有名だった〝プレイボーイ連次〟の話ね。あの時は大変だったよね、あかね~♪」
「なに?」
「ああ、由希は知らないんだっけ。中学別だもんね」
「由希は高校からのダチだもんな」
首を傾げる由希に、要は「あのね、実はね~」とにんまりと笑うと、あかねが顔を紅くし、慌てて要の前に立ちはだかった。
「ちょ!やめなさいよ要!! 由希、こんな話し聞かなくていいから!」
言って振り向いたあかねの隙を突いて、要はまたにんまりと笑う。
「秋葉、あかねをおさえろ!」
「あいあいさ~!」
号令を受けた秋葉が、あかねの後ろから抑えて口を塞いだ。
あかねの体をよけて覗くようにして、要は由希に向かって必要以上に大きな声で言う。
「あのね、中学の時にね――」
「(やーめーてー!)」
あかねはの叫びは言葉に成らず、結局赤っ恥を由希に知られる事になった。
その赤っ恥とは、外面は良く、顔も美人なあかねは中学の時中々モテた。しかし、特に「付き合う」ということに意味を見出さなかったあかねはことこどくふりつづけた。
そんな中、連次くんだけは何度も何度もあかねにアタックし続け、あかねも次第に彼を好きになり付き合う事にしたが、わずか5ヶ月で破局。
実は連次くんは、たんなるアッタックマニアで、数々の女性にアタックしてはモノにし、モノになると興味がなくなるという最低のプレイボーイだったのである。
「ああ、もう最悪!」
頬を真っ赤に染めながら、あかねはうなだれた。
「まあまあそれも思い出ってね♪」
「うっさいわよ!」