ドッペルゲンガー ~怪事件捜査倶楽部~。
「あの……これ……知りませんか?」
「え?」
あまりにも弱々しい由希の声に、聞かれた少女は聞き返した。
「あ、あの! これ! だ、誰のか知ってますか!?」
今度は少し大きめの声で言うと、聞かれた少女は「ああ」と言って写真を見た。
「ごめんね、知らないや」
言って歩き去る。その姿を眺めながら、由希は「はあ~」と疲れたようなため息を吐いた。
そこに、聞きなれた音楽が流れた。由希の携帯の着メロだ。
由希は慌てて着信の表示画面を見ると、呟いた。
「なんだ、あいつか」
キョロキョロと辺りを見回す。
由希の担当は裏庭なため、あまり人は来ないが、念のため由希は人のこなそうな温室に入った。
入るとすぐに電話をとる。
「もしもし」
『……もしもし』
携帯からくぐもった少女の声が聞こえた。
「どうしたの? なるべく学校にいる時は電話しないで、メールでって約束でしょ?」
『……ごめん』
「別に良いけど、どうした? 具合悪い?」
『ううん……。あの、今平気?』
「うん。温室入ったから大丈夫」
由希がそう答えると、携帯電話の向こうの少女は驚いた声を上げた。
『そこ、高村先輩が、いたところだよ!?』
「うん、言ってたね。でも今はもういないでしょ?」
『……わかんないよ、そんなの』
不安そうに少女が言うと、由希はなだめるように、勇気付けるように言った。
「でも、高村先輩、怖い感じはしなかったんでしょ? だったら大丈夫よ」
『……かな?』
半信半疑に問う少女に、由希は力強く言う。
「そうだよ! 悪さする奴ばっかりじゃないって、あんたが一番良くわかってんでしょ?」
『……うん』
それでも弱々しく答える少女を、さらに励まそそうと由希は続けた。
「それに、あの時、日吉先輩がお守り何処にあるか教えてくれたんでしょ?」
『そうだけど……わたし、悪さはしないって分かってても……あてられちゃうから』
言った少女の声は哀しそうだった。自分のふがいなさを恥じているような声だった。だから、由希はそれ以上何も言わず、話題を変えた。
「で、どうしたの? なんか帰りに買ってくものあったっけ?」
『ううん、違うの。なんだか、不安で……声が聞きたくなったの。ごめんね』
そう申し訳なさそうに言う少女に、由希は優しく笑いかけた。
「良いんだよ、そんなの。ウチはあんたのお姉ちゃんなんだから」
2時間が経過して、辺りに誰も通らなくなると、4人は中庭に集合した。
「収穫は?」
あかねは中庭に行くと、先に来ていた3人に話しかけた。
3人はほぼ同時に首を横に振った。
「そう……」
ため息混じりに言うと、俯く。
すると、独り言を言うように、要がポツリと喋りだした。
「実はさ……ずっと引っかかってることがあるんだよね」
「どんなこと?」
あかねが尋ねると、数回軽く頷いてからまた喋り始めた。
「日吉先輩の事。一週間くらい前、日吉先輩にみんなで事情を聞きにいった時、あたし当時の美術準備室の部屋の様子も知りたかったから「その時の部屋の様子を教えてください」って言ったの覚えてる?」
要の顔を見ながら3人が頷くが、秋葉は覚えていないようで、とりあえず頷いておくかという感じが見え見えだった。
そんな秋葉を突っ込む事もせず、要は真剣な顔のまま続ける。
「だけど、あの人答えなかったでしょう? 何となく気になっててさ。そしたら4日くらい前の放課後、偶然日吉先輩と廊下で会ったの」
「え?」
あまりにも弱々しい由希の声に、聞かれた少女は聞き返した。
「あ、あの! これ! だ、誰のか知ってますか!?」
今度は少し大きめの声で言うと、聞かれた少女は「ああ」と言って写真を見た。
「ごめんね、知らないや」
言って歩き去る。その姿を眺めながら、由希は「はあ~」と疲れたようなため息を吐いた。
そこに、聞きなれた音楽が流れた。由希の携帯の着メロだ。
由希は慌てて着信の表示画面を見ると、呟いた。
「なんだ、あいつか」
キョロキョロと辺りを見回す。
由希の担当は裏庭なため、あまり人は来ないが、念のため由希は人のこなそうな温室に入った。
入るとすぐに電話をとる。
「もしもし」
『……もしもし』
携帯からくぐもった少女の声が聞こえた。
「どうしたの? なるべく学校にいる時は電話しないで、メールでって約束でしょ?」
『……ごめん』
「別に良いけど、どうした? 具合悪い?」
『ううん……。あの、今平気?』
「うん。温室入ったから大丈夫」
由希がそう答えると、携帯電話の向こうの少女は驚いた声を上げた。
『そこ、高村先輩が、いたところだよ!?』
「うん、言ってたね。でも今はもういないでしょ?」
『……わかんないよ、そんなの』
不安そうに少女が言うと、由希はなだめるように、勇気付けるように言った。
「でも、高村先輩、怖い感じはしなかったんでしょ? だったら大丈夫よ」
『……かな?』
半信半疑に問う少女に、由希は力強く言う。
「そうだよ! 悪さする奴ばっかりじゃないって、あんたが一番良くわかってんでしょ?」
『……うん』
それでも弱々しく答える少女を、さらに励まそそうと由希は続けた。
「それに、あの時、日吉先輩がお守り何処にあるか教えてくれたんでしょ?」
『そうだけど……わたし、悪さはしないって分かってても……あてられちゃうから』
言った少女の声は哀しそうだった。自分のふがいなさを恥じているような声だった。だから、由希はそれ以上何も言わず、話題を変えた。
「で、どうしたの? なんか帰りに買ってくものあったっけ?」
『ううん、違うの。なんだか、不安で……声が聞きたくなったの。ごめんね』
そう申し訳なさそうに言う少女に、由希は優しく笑いかけた。
「良いんだよ、そんなの。ウチはあんたのお姉ちゃんなんだから」
2時間が経過して、辺りに誰も通らなくなると、4人は中庭に集合した。
「収穫は?」
あかねは中庭に行くと、先に来ていた3人に話しかけた。
3人はほぼ同時に首を横に振った。
「そう……」
ため息混じりに言うと、俯く。
すると、独り言を言うように、要がポツリと喋りだした。
「実はさ……ずっと引っかかってることがあるんだよね」
「どんなこと?」
あかねが尋ねると、数回軽く頷いてからまた喋り始めた。
「日吉先輩の事。一週間くらい前、日吉先輩にみんなで事情を聞きにいった時、あたし当時の美術準備室の部屋の様子も知りたかったから「その時の部屋の様子を教えてください」って言ったの覚えてる?」
要の顔を見ながら3人が頷くが、秋葉は覚えていないようで、とりあえず頷いておくかという感じが見え見えだった。
そんな秋葉を突っ込む事もせず、要は真剣な顔のまま続ける。
「だけど、あの人答えなかったでしょう? 何となく気になっててさ。そしたら4日くらい前の放課後、偶然日吉先輩と廊下で会ったの」