ドッペルゲンガー ~怪事件捜査倶楽部~。
「やっぱりねぇ」
要は腕を組み、息を吐くようにして言うと、ニヤリと笑った。
そんな要を眉をひそめながら、由希は見ていた。
「いつから気づいてた? うちらが双子だって」
「それは随分まえだよ。入学式で由希、いや……「美奈」に出会ってから二週間くらいだったかな? ちなみに「美奈と由希が入れ替わって登校してる」って気づいたのは出会ってから1ヶ月くらい経ってからだったかな?」
「そ、そんなに早くから!?」
「……」
びっくりして何も言えない美奈と、驚きを隠せない由希を面白そうに要は交互に見て、ニヤニヤといやらしく笑う。
「あたしは情報の毒蜘蛛だよ~? 甘く見ちゃいかんよ」
そう得意げに言って、話を続けた。
「あたしが何で由希と美奈が双子でしかも「入れ替わって登校」してるって気づいたかというとね、入学式で美奈と初めて出会ってから3日くらいした時に、上級生に声かけられてたでしょ? 長野の空手の県大会で優勝しなかったかって」
「……確かに声かけられたけど。え、見てたの!?」
「見てたよ」
要は頷いてまたニヤっと笑った。
「由希は「人違いです」って言ってたし、由希の大人しい様子を見てその先輩も間違ったのかな?ってあっさりひいてたけど、あたしはちょっと気になってね。ネットさらったらあっさり解ったんだ。藍原由希は中学2年の時に長野の県大会で優勝してた。ちなみにこれ、その時の写真ね」
そう言って要はA4サイズの印刷した写真入りの記事を見せた。そこに映っていた少女は紛れもなく由希だったが、おどおどした様子は微塵もなく、凛々しい立ち姿で堂々とトロフィーを掲げていた。
「用意周到だね……」
由希は呆れた様子で呟いた。その呟きに対し、要は「ありがとう」と小声で返す。
「で、何で隠すんだろう?とは思ってたんだけど、まあ、スランプなのかなぁって思ってたわけよ。でも、何だか時々違和感があってね」
要の話を聞きながら、由希は腕を組んでドアのふちに寄りかかり、美奈は辛そうに両手の指を絡ませて俯く。そんな美奈を見つめながら、要は話を続けた。
「例えば「癖」」
「癖?」
「?」
不意の言葉に二人はパッと顔を上げて要を見た。要はニコリと笑うと、得意げに人指し指を差し出す。
「由希は腕を組んで、片側に体重を預ける癖があるし、美奈は手を組んで指を絡ませたり、両手の指先を合わせる癖がある」
『!』
二人は驚いて、今まさに自分達がしていた「癖」を慌てて解いた。
「いっつもオドオドして、指をいじってる由希が、腕組んで片側に体重預けて仁王立ちって」
言いながら要は「ははは」と笑い出した。
「う、うるせえよ!」
笑われた由希は顔をほんのり赤く染めながら悪態をつく。一方美奈は、カァ――っと顔を極限まで真っ赤に染め、指を合わせながら俯いた。
「まあ、そんなわけで変だなって思って調べたわけよ。そうしたら藍原由希の双子の妹がいることが解ったの。それが藍原美奈――で? 何で入れ替わる事になったわけ?」
「……」
核心に触れる質問に、由希と美奈は押し黙った。
そのまま暫く重い沈黙が流れた。その沈黙を破ったのは、美奈だった。
要は腕を組み、息を吐くようにして言うと、ニヤリと笑った。
そんな要を眉をひそめながら、由希は見ていた。
「いつから気づいてた? うちらが双子だって」
「それは随分まえだよ。入学式で由希、いや……「美奈」に出会ってから二週間くらいだったかな? ちなみに「美奈と由希が入れ替わって登校してる」って気づいたのは出会ってから1ヶ月くらい経ってからだったかな?」
「そ、そんなに早くから!?」
「……」
びっくりして何も言えない美奈と、驚きを隠せない由希を面白そうに要は交互に見て、ニヤニヤといやらしく笑う。
「あたしは情報の毒蜘蛛だよ~? 甘く見ちゃいかんよ」
そう得意げに言って、話を続けた。
「あたしが何で由希と美奈が双子でしかも「入れ替わって登校」してるって気づいたかというとね、入学式で美奈と初めて出会ってから3日くらいした時に、上級生に声かけられてたでしょ? 長野の空手の県大会で優勝しなかったかって」
「……確かに声かけられたけど。え、見てたの!?」
「見てたよ」
要は頷いてまたニヤっと笑った。
「由希は「人違いです」って言ってたし、由希の大人しい様子を見てその先輩も間違ったのかな?ってあっさりひいてたけど、あたしはちょっと気になってね。ネットさらったらあっさり解ったんだ。藍原由希は中学2年の時に長野の県大会で優勝してた。ちなみにこれ、その時の写真ね」
そう言って要はA4サイズの印刷した写真入りの記事を見せた。そこに映っていた少女は紛れもなく由希だったが、おどおどした様子は微塵もなく、凛々しい立ち姿で堂々とトロフィーを掲げていた。
「用意周到だね……」
由希は呆れた様子で呟いた。その呟きに対し、要は「ありがとう」と小声で返す。
「で、何で隠すんだろう?とは思ってたんだけど、まあ、スランプなのかなぁって思ってたわけよ。でも、何だか時々違和感があってね」
要の話を聞きながら、由希は腕を組んでドアのふちに寄りかかり、美奈は辛そうに両手の指を絡ませて俯く。そんな美奈を見つめながら、要は話を続けた。
「例えば「癖」」
「癖?」
「?」
不意の言葉に二人はパッと顔を上げて要を見た。要はニコリと笑うと、得意げに人指し指を差し出す。
「由希は腕を組んで、片側に体重を預ける癖があるし、美奈は手を組んで指を絡ませたり、両手の指先を合わせる癖がある」
『!』
二人は驚いて、今まさに自分達がしていた「癖」を慌てて解いた。
「いっつもオドオドして、指をいじってる由希が、腕組んで片側に体重預けて仁王立ちって」
言いながら要は「ははは」と笑い出した。
「う、うるせえよ!」
笑われた由希は顔をほんのり赤く染めながら悪態をつく。一方美奈は、カァ――っと顔を極限まで真っ赤に染め、指を合わせながら俯いた。
「まあ、そんなわけで変だなって思って調べたわけよ。そうしたら藍原由希の双子の妹がいることが解ったの。それが藍原美奈――で? 何で入れ替わる事になったわけ?」
「……」
核心に触れる質問に、由希と美奈は押し黙った。
そのまま暫く重い沈黙が流れた。その沈黙を破ったのは、美奈だった。