ドッペルゲンガー ~怪事件捜査倶楽部~。
「あ、あのね……あの時、入学式の時、わたし人と、人に憑いてきてた死んだ人にあてられて、気分が悪くて、すぐにでも逃げ出したかった……でも、席を立ち上がろうとした時、要ちゃんが「大丈夫?」って声をかけてくれて、何だか、少し落ち着けたの」
そう言って、ぎこちなく微笑む。
「わ、わたしね、その後やっぱりきつくて、急いで家に帰って、それで寝込んじゃったんだけど、翌日由希から「吉原さんっていう人に、昨日大丈夫だったかって聞かれた」って聞いて、わ、わたし嬉しくて……いままで、家族以外に、心配してくれる人なんていなかったから……み、みんな何だか、わたしのこと……怖がったり、気味悪がったりしてて」
ぎこちなく笑いながら、悲しそうに瞳を伏せる。
「そ、それで、由希と入れ替わりながら、は、初めて友達が出来て……もっと、ずっと一緒にいたいって思うようになって、だから最近ちょっとは耐えられるようになってきたんだ――けど、もう、やだよね。こんな……気味の悪いやつ……」
「なんで?」
苦辛に歪む美奈に、要はあっさりと「訳が分からない」と言うように返した。
「なんでって……だって――死んだ人が見えるとかおかしいし、変なやつだって、思うでしょう? それに、わたし由希に入れ替わって、嘘ついてたんだし」
さらに心痛を露わにし、落ち込む美奈に、要はあっけらかんと笑った。
「美奈は嘘なんてついてないでしょ~! だってあたし達がしってる「由希」の性格は美奈そのものじゃん! 嘘ついてたってゆうなら由希の方でしょ~!」
「うるさいわ。美奈がウチの性格真似出来るはずがないでしょ! 人物統一しなきゃいけないんだからしょうがないじゃん」
「そ、そうじゃなくて――」
戸惑う美奈に、要は続けた。
「あたしはさぁ、美奈が好きなんだよ。もちろん由希も。まあ、由希がこんな性格だとは思わなかったけどもさ♪ でも、本当の由希を知ってもっと好きになった。それは、美奈――キミも同じだよ」
要の言葉に、美奈の瞳からは思わず涙が溢れていた。
「美奈はまず優しいし、何だか頼りないとこが構いたくなっちゃうんだぁ。霊能力だって、美奈の個性じゃん。別に気味悪がることはないし、あたしだってよく「変なやつ」扱いされるしね~。ただ体調崩しちゃうのは大変だと思うし、心配はするよ。友達だもの」
「……と、友達だって、思ってくれるの?」
戸惑いと期待を隠せない美奈の問いに、要は毅然と答えた。
「出会ってからも、今も思ってるよ。美奈も由希も、大事な友達だって」
その答えに美奈は嬉しそうに頬を少し紅く染めて微笑み、由希は「ふっ」静かに嬉しそうに笑って腕を組んでドアに寄りかかった。
「……ありがとう」
「――きっと秋葉とあかねもそう言うと思うな」
「……あかねちゃんと秋葉ちゃんにはまだ言わないで」
「美奈」
不安が残るのか、美奈は低く沈んだ声で呟いた。そんな美奈の名を少し強めの口調で、由希は呼んだ。どこか叱咤するような、促すような言い方だ。そんな由希に向かって「違うの」と言って美奈は顔をあげた。
その顔はどこか吹っ切れたように見え、今度はさっきとは対照的に、声を張って由希や要の目をまっすぐに見つめながら言った。
「じ、自分から、言いたいの! た、大切だから!」
カアア――と顔を赤らめ、美奈は俯く。そんな妹の心境の変化を由希はぽかんと見つめた。一方要はニヤリと不敵に笑い、人差し指を唇の上に持って行くと楽しそうに微笑んだ。
「わかったよ。じゃあ、暫くはあたし達だけの――秘密ってことで♪」
そう言って、ぎこちなく微笑む。
「わ、わたしね、その後やっぱりきつくて、急いで家に帰って、それで寝込んじゃったんだけど、翌日由希から「吉原さんっていう人に、昨日大丈夫だったかって聞かれた」って聞いて、わ、わたし嬉しくて……いままで、家族以外に、心配してくれる人なんていなかったから……み、みんな何だか、わたしのこと……怖がったり、気味悪がったりしてて」
ぎこちなく笑いながら、悲しそうに瞳を伏せる。
「そ、それで、由希と入れ替わりながら、は、初めて友達が出来て……もっと、ずっと一緒にいたいって思うようになって、だから最近ちょっとは耐えられるようになってきたんだ――けど、もう、やだよね。こんな……気味の悪いやつ……」
「なんで?」
苦辛に歪む美奈に、要はあっさりと「訳が分からない」と言うように返した。
「なんでって……だって――死んだ人が見えるとかおかしいし、変なやつだって、思うでしょう? それに、わたし由希に入れ替わって、嘘ついてたんだし」
さらに心痛を露わにし、落ち込む美奈に、要はあっけらかんと笑った。
「美奈は嘘なんてついてないでしょ~! だってあたし達がしってる「由希」の性格は美奈そのものじゃん! 嘘ついてたってゆうなら由希の方でしょ~!」
「うるさいわ。美奈がウチの性格真似出来るはずがないでしょ! 人物統一しなきゃいけないんだからしょうがないじゃん」
「そ、そうじゃなくて――」
戸惑う美奈に、要は続けた。
「あたしはさぁ、美奈が好きなんだよ。もちろん由希も。まあ、由希がこんな性格だとは思わなかったけどもさ♪ でも、本当の由希を知ってもっと好きになった。それは、美奈――キミも同じだよ」
要の言葉に、美奈の瞳からは思わず涙が溢れていた。
「美奈はまず優しいし、何だか頼りないとこが構いたくなっちゃうんだぁ。霊能力だって、美奈の個性じゃん。別に気味悪がることはないし、あたしだってよく「変なやつ」扱いされるしね~。ただ体調崩しちゃうのは大変だと思うし、心配はするよ。友達だもの」
「……と、友達だって、思ってくれるの?」
戸惑いと期待を隠せない美奈の問いに、要は毅然と答えた。
「出会ってからも、今も思ってるよ。美奈も由希も、大事な友達だって」
その答えに美奈は嬉しそうに頬を少し紅く染めて微笑み、由希は「ふっ」静かに嬉しそうに笑って腕を組んでドアに寄りかかった。
「……ありがとう」
「――きっと秋葉とあかねもそう言うと思うな」
「……あかねちゃんと秋葉ちゃんにはまだ言わないで」
「美奈」
不安が残るのか、美奈は低く沈んだ声で呟いた。そんな美奈の名を少し強めの口調で、由希は呼んだ。どこか叱咤するような、促すような言い方だ。そんな由希に向かって「違うの」と言って美奈は顔をあげた。
その顔はどこか吹っ切れたように見え、今度はさっきとは対照的に、声を張って由希や要の目をまっすぐに見つめながら言った。
「じ、自分から、言いたいの! た、大切だから!」
カアア――と顔を赤らめ、美奈は俯く。そんな妹の心境の変化を由希はぽかんと見つめた。一方要はニヤリと不敵に笑い、人差し指を唇の上に持って行くと楽しそうに微笑んだ。
「わかったよ。じゃあ、暫くはあたし達だけの――秘密ってことで♪」