ドッペルゲンガー ~怪事件捜査倶楽部~。
――「じゃあ、解散!」
要が勢い良くそう言って、あかねと由希と秋葉は拳を上に上げた。
「お~う!」と秋葉だけが気合を入れたが、あかねと由希は小さく拳を上げて「はあ……」と小さくため息をついた。
そうして3人はお守りの調査をするために、散りじりに部室を出て行った。最後に残った要はにやりと微笑む。
そしてそのまま、部室を出た。
向かった先は中庭ではなく、3年の教室だった。人通りの少なくなった廊下から、ひょいと教室を覗いてみる。
その教室には3人の生徒が残っていた。その生徒達は窓際の席で何やら楽しそうに話していた。
「ふむ……」
要は顎に手を当ててしばらく何かを考える。
(確か……あのみつあみの女子は……)
教室の中にいる3人の内の一人はみつあみの少女だった。その子はおそらく自分の席であろう机の椅子に座って話していた。
要はもう一度、そのみつあみの子をちらりと見ると、スカートのポケットから小さな黒い手帳を取り出した。
その手帳の裏にはシルバーとキラキラ光るピンクパールで、蜘蛛の糸にかかっている蝶が綺麗に描かれていた。
その手帳をぺらぺらとめくると、あるページで指が止まった。
「ほう、やっぱりね」
そう独りごちて、要は手帳をパタンと閉めた。
するとそのまま、ズカズカと教室に入っていく。
「すいませ~ん、山城さん?」
「え?」
呼ばれて振り向いたみつあみの少女の、1メートルくらい先で止まると、要はにこっと笑った。
「山城さん? ですか? あ、いや先輩か」
「えっと……はい? 山城だけど……」
――なにか? と問う寸前で、みつあみの少女こと、山城さんは言葉を濁した。この子誰?
という疑問と不審が顔に滲んでいる。
「あっ、良かった。実は京葉南の制服着た男子が――」
「え!?」
言いかけたその言葉に3人はどよめいた。その姿を見て、要はほくそえむ。
「門の前で待ってるって伝えてくれって」
にこりと笑いながら、要は親指で教室の出口を指差す。3人は顔を合わせて、静かに頷いた。そして山城さんは期待するように、窺うように問う。
「あの……その人ってもしかして、高坂くんって名前だったりする?」
「さあ……? すいません、名前は聞きはぐりました」
首を傾げながら、にかっと笑う要の顔を見てから、山城さんはすぐに席を立った。
「わかったわ、ありがとう」
言って嬉しそうに駆け出す。その後を2人の女子もきゃあきゃあ言いながら、楽しそうに駆けていった。
その姿を見送って、要はしたり顔でほくそえんだ。
要が勢い良くそう言って、あかねと由希と秋葉は拳を上に上げた。
「お~う!」と秋葉だけが気合を入れたが、あかねと由希は小さく拳を上げて「はあ……」と小さくため息をついた。
そうして3人はお守りの調査をするために、散りじりに部室を出て行った。最後に残った要はにやりと微笑む。
そしてそのまま、部室を出た。
向かった先は中庭ではなく、3年の教室だった。人通りの少なくなった廊下から、ひょいと教室を覗いてみる。
その教室には3人の生徒が残っていた。その生徒達は窓際の席で何やら楽しそうに話していた。
「ふむ……」
要は顎に手を当ててしばらく何かを考える。
(確か……あのみつあみの女子は……)
教室の中にいる3人の内の一人はみつあみの少女だった。その子はおそらく自分の席であろう机の椅子に座って話していた。
要はもう一度、そのみつあみの子をちらりと見ると、スカートのポケットから小さな黒い手帳を取り出した。
その手帳の裏にはシルバーとキラキラ光るピンクパールで、蜘蛛の糸にかかっている蝶が綺麗に描かれていた。
その手帳をぺらぺらとめくると、あるページで指が止まった。
「ほう、やっぱりね」
そう独りごちて、要は手帳をパタンと閉めた。
するとそのまま、ズカズカと教室に入っていく。
「すいませ~ん、山城さん?」
「え?」
呼ばれて振り向いたみつあみの少女の、1メートルくらい先で止まると、要はにこっと笑った。
「山城さん? ですか? あ、いや先輩か」
「えっと……はい? 山城だけど……」
――なにか? と問う寸前で、みつあみの少女こと、山城さんは言葉を濁した。この子誰?
という疑問と不審が顔に滲んでいる。
「あっ、良かった。実は京葉南の制服着た男子が――」
「え!?」
言いかけたその言葉に3人はどよめいた。その姿を見て、要はほくそえむ。
「門の前で待ってるって伝えてくれって」
にこりと笑いながら、要は親指で教室の出口を指差す。3人は顔を合わせて、静かに頷いた。そして山城さんは期待するように、窺うように問う。
「あの……その人ってもしかして、高坂くんって名前だったりする?」
「さあ……? すいません、名前は聞きはぐりました」
首を傾げながら、にかっと笑う要の顔を見てから、山城さんはすぐに席を立った。
「わかったわ、ありがとう」
言って嬉しそうに駆け出す。その後を2人の女子もきゃあきゃあ言いながら、楽しそうに駆けていった。
その姿を見送って、要はしたり顔でほくそえんだ。