ドッペルゲンガー ~怪事件捜査倶楽部~。
「ねえ、なんで最初に『 ゑ 』ってあるんだろうね? それに、丸をうつ場所おかしくない?」

秋葉の持っていた紙を見つめながら、そう言う由希を3人は、はっとした顔で見た。
あかねが「確かに!」と歓喜するように言って、続けた。

「『おおかれど』や『みるならば』の後なら、点で良いはずだものね」

「そうだな……なんでわざわざ丸で区切ってるんだ?」

秋葉がこれに同意すると、秋葉の拳を目掛けてにゅるりと手が伸びてきた。
「おおっ」小さく驚くと、その手は秋葉の持っていた紙を、ひょいと取った。

その手は要のものだった。秋葉は目を丸くしながら、要に文句を言うと、要は悪びれたようすもなく、ごく軽い感じで謝った。

「ごめん、ごめ~ん」

そしてそのまま、掲げるようにしてその紙を仰ぎ見た。
要が押し黙る事、数分。
沈黙を破るようにして、要の口から力強い言葉が放たれた。

「――解った!」

その言葉に、3人は驚いて目を見開いた。要は3人に向き直って、紙を見せた。

「これ、まず『 ゑ 』ってあるでしょ? これって今の言葉で『 え 』って意味だよね?」

「そうね」

当然でしょ? というようにあかねが頷く。
そんなあかねを試すように、要は切り出した。

「でも、もう一つ意味がある……それはなにかな?」

「……え? なに?」

不安そうに戸惑うあかねに、要は指を差し出した。
そして鬼の首を取ったかの如く、胸を張って答えた。

「――ひらがな、だよ!」

「――はああ!?」

これにはあかねだけじゃなく、秋葉も由希も呆れ返った。
しかし、要は冷静に続ける。

「まま、落ち着きたまえよ。この『ひらがな』ってのが重要なんだよ」

この言葉をうけて、3人は不信感たっぷりな視線を要に送りながら、秋葉が切り出した。

「どういうことだ?」
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