ドッペルゲンガー ~怪事件捜査倶楽部~。
部屋は静まり返り、時計だけがギコギコと古びた音を奏でている。
そこへ「ちょっと、良い?」と要が挙手をして、質問をした。
「帰ったの? 榎木先輩と会ってから、時計の前には行った?」
「いえ……あそこには行きませんでした」
「本当!?」
「ええ、本当よ」
三枝は怪訝そうにしながら静かにそう答える。すると「あ!」と驚いた声を、美奈が上げた。
「どうしたの?」
由希が美奈に窺うようにして聞くと、美奈は弱々しく言う。
「あの……アップの髪の女の子は、もう一度……ショートの髪、つまり榎木先輩に会ってるはずじゃ……」
『!?』
思い出したように由希と秋葉とあかねは顔を見合わせ、要を見た。
「そうよね、確かにそうよ。三枝先輩の言ってる事が本当なら、目撃されたあのアップの女は誰なの?」
「あかねの言うとおり、榎木先輩と高村先輩が目撃された後、アップ女はその前と後に榎木先輩といる所を目撃されてる。三枝先輩が高村先輩と榎木先輩が目撃される前、もしくは、後、だとしたら、アップ女はもう一人、いるってことよね」
要が自分に言い聞かせるように言うと、それを聞いた三枝は「もしかしたら、それが榎木の待ち合わせ相手だったのかしら?」と呟いて榎木を見つめた。
全員の視線が榎木に向けられる。
「あれは――日吉よ」
「日吉先輩?」
あかねがそう呟くと、榎木に注目が集まり、榎木は無表情のままコクリと頷いた。
「じゃあ、榎木先輩の待ち合わせ相手って、日吉先輩?」
あかねのこの質問に、榎木は首を横に振った。
ゆっくりと唇を動かす。
「私の待ち合わせ相手は――高村よ」
そこへ「ちょっと、良い?」と要が挙手をして、質問をした。
「帰ったの? 榎木先輩と会ってから、時計の前には行った?」
「いえ……あそこには行きませんでした」
「本当!?」
「ええ、本当よ」
三枝は怪訝そうにしながら静かにそう答える。すると「あ!」と驚いた声を、美奈が上げた。
「どうしたの?」
由希が美奈に窺うようにして聞くと、美奈は弱々しく言う。
「あの……アップの髪の女の子は、もう一度……ショートの髪、つまり榎木先輩に会ってるはずじゃ……」
『!?』
思い出したように由希と秋葉とあかねは顔を見合わせ、要を見た。
「そうよね、確かにそうよ。三枝先輩の言ってる事が本当なら、目撃されたあのアップの女は誰なの?」
「あかねの言うとおり、榎木先輩と高村先輩が目撃された後、アップ女はその前と後に榎木先輩といる所を目撃されてる。三枝先輩が高村先輩と榎木先輩が目撃される前、もしくは、後、だとしたら、アップ女はもう一人、いるってことよね」
要が自分に言い聞かせるように言うと、それを聞いた三枝は「もしかしたら、それが榎木の待ち合わせ相手だったのかしら?」と呟いて榎木を見つめた。
全員の視線が榎木に向けられる。
「あれは――日吉よ」
「日吉先輩?」
あかねがそう呟くと、榎木に注目が集まり、榎木は無表情のままコクリと頷いた。
「じゃあ、榎木先輩の待ち合わせ相手って、日吉先輩?」
あかねのこの質問に、榎木は首を横に振った。
ゆっくりと唇を動かす。
「私の待ち合わせ相手は――高村よ」