ドッペルゲンガー ~怪事件捜査倶楽部~。
「あの人はね、剣道の全国大会で何度も優勝して、他の部活にも顔が広いから生徒会も色々世話になってたりするのよ。だから生徒会に圧力だってかけようと思えばかけらるの。……まあそんな事はまずしないと思うけど。秋葉なら運動部に顔が広いし、知ってると思ってたんだけど?」

「あの人が全国大会で優勝したってのは知ってるけど、分野が違うからあんま興味ないんだよなぁ」

頭の後ろで手を組みながら言うと

「それだけじゃ、ないのよ」

要は意味深に三人を見つめ微笑みながらそう呟いた。

「あの人はね゛霊感少女〝でも有名なのよ」

要は得意げに顔をクイッと上げた。その言葉を聞いた由希は、口元に手を当てたまま眉をぴくりと小さく動かした。

「【榎木 夕菜】三年A組・出席番号11番。中学2年の時に前の学校で「自分には霊感がある」とカミングアウト。中3でこの白女に転校してからも゛霊感少女〝の名を欲しいままにしてるってわけ」

「詳しいわね」

感心したようにあかねが呟く。

「あったり前じゃないのさ!このあたしを誰だとお思い?」

そう自信満々に胸を張る要に「はいはい」と三人が呆れたように頷くと、要が何かを思いついた時のように手を「ぽん!」と叩いた。

そして、勢い良く言う。

「ねえ!あたし達で、チーム……クラブ作らない!?」

『クラブ?』

あかね、由希、秋葉の声が合わさっておうむがえした。

「そう!部活申請は面倒だから、クラブ申請するのよ!部費は部活より出ないけど、どう!?」

「どうって……なに」

「待って!待って!あかねそれはまだ言わないで!!このクラブ名を聞いてからにして!!」

わざわざあかねの言葉をさえぎって、要は大きく息をした。
いっきに言葉を吐き出す。

「その名も! 【 怪事件捜査倶楽部!! 】」

その言葉を受けて、あかねは「嫌な予感しかしない」というように、訊ねた。

「……さっきの続き、言わせてもらうわよ「なにするのよ?」」

「ふふ!もちろん!゛探偵〝よ!!怪事件捜査よ!!ねえ、面白そうじゃない?」

要は顔を覗き込むように首を傾げながら三人を見つめた。
その目はきらめく夜空のように輝きを帯びている。

一方、あかねと秋葉は要とは対照的に死んだ魚の目のような瞳で要を見返した。
特にあかね。

そして要から目線を外すと、二人はため息に似た呼吸を吐いた。

「……私はパス」

「俺もパス」

「何でえ!?」

鳩が豆鉄砲をくらったように驚く要に、至極もっともな理由がかえってきた。

「私は生徒会も学級委員もやってるのよ。クラブなんてそんな余裕ないわよ」

「俺もバレーで忙しいんだよ。一年でレギュラーに入らせてもらってんのに掛け持ちなんかできっか」

「ええ~!じゃ、じゃ、由希は?」

「わ、わたしは……」








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