太陽の竜と闇の青年





「ひ、姫様!!す、少しは落ち着いてください」


私は胃を押さえて走ってくるサクラと、後ろにいるサクラを支える侍従をニッコリと微笑みながらみて言った。


「うん。大丈夫。私、とっても落ち着いているよ。うん。もう、本当に落ち着いてる。誰もあの狸親父を殴ったり蹴ったりしたあと、首を剣でかっきったり、手首を斬ったりとか、そんな怖い考え全然していないから。うん。もう、本当にしていないからさ。安心して?ねっ?」


サクラは思った。


誰がこんな姫様の顔と手にこもっている怒りをみて安心できるのだろうか。


「ひ、姫様。お願いします。すこし落ち着きましょう」


サクラの声も虚しく、私は狸親父の部屋の前に立った。


そして、取っ手をグッと回し、部屋に乗り込んだ。


「さぁ。説明してもらいますよ。父上」


私は、父の前に仁王立ちに立って言った。


父は平然とした顔をしている。


その隣にはあらあら、といいながらも楽しそうに笑う母の姿があった。


まったく、二人ともなんでこんなに仲良しなんだか。


「父上、母上、私に許嫁とはどういう意味ですか?」


私は、声を低くして聞いた。


「ふむ。もう知っていたのか。許嫁とは許嫁ということだよ」


私は、父の机をバンッと叩いて言った。


「冗談じゃない!!絶対にお見合いなんかするつもりなんて私にはないから!」


けど、父は平然として言った。


「だけど、ルウ。ルウは風国の王族だ。最終的には、フウかルウ、どちらかがきちんとした相手と添い遂げて、それで、立派にこの国を支えてくれないといけない。それとも何だ?ルウは相手国に不満でもあるのか?」


私は、眉をひそませて、考え込んだ。
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