太陽の竜と闇の青年
父がふぅと短くため息をついたのと、私が決心をつけたのが同時だった。
「よし、分かった」
父の顔がきらっと輝いた。
「だが、少し時間をくれないか?」
父は眉をひそめた。
「時間?」
私は、こくん、とうなずいた。
「私がこの目でこっそりと碧国の王をみてくる。もし、私が満足できる男だったら許嫁になろう。が、私の納得のいかない男だったらその時は私とフウの婚約を破棄にしてもらおう」
王が、渋々ながらもうなずくのをみて、私は母に顔を向けた。
母は、笑顔だ。
いっつも笑顔だよなぁ……。この人は……。
私もニッコリと笑って母に言った。
「では、今から私は旅に出かけますね。あ、もちろん母上からもらった笛と父上から貰った双剣はしっかりと持っていきますのでご安心ください。では、母上。父上をよろしくお願いします。最近、少し太ってきたような気がするので食事の制限も頼みますね」
すると、母上はスッと立ち上がり私に近づいてきた。
その姿は、誰もがうっとりとするほど綺麗なものだった。
母からバラのコンロのいい香りがした。
「ルウ。これをつけていなさい」
私の手首にヒンヤリとするものがつけられた。
それは、何でも透き通るようなとても綺麗な青色のブレスレットだった。
「母上、これは?」
私は、それをそっと撫でながら聞いた。
「それは、私があなたにプレゼントしようと思って父様に買ってもらったものなの。ほら、みてごらんなさい。私と同じ色のブレスレットでしょう?」
私は、母上の手首についているブレスレットをみた。
少しだけ母上のほうが色が濃いが、ほかはそっくりだ。
「母上、父上、ありがとうございます。ですが、父上。許嫁のことは許しませんからね」
私は、笑顔で二人をみたあと、サクラに肩をかしてあげながら部屋まで行った。