太陽の竜と闇の青年
「僕はウィン=フウ。ルウの双子の弟だ。ちなみに僕だって悪巧みを考えるのは得意なんだよねー。僕と九尾だったら、絶対に僕のほうが高度な悪巧みを考えられるよー」


首根っこを掴まれてる九尾はバタバタと手足を動かした。


「ルウ殿の弟にしては、全然似てないな。似てるのは顔だけだー。性格はルウ殿のほうが断然いいね!」


僕はニッコリと笑った。


「へぇー。それはすっごく嬉しい褒め言葉だよー」


九尾は嫌そうな顔で僕を見てからつぶやいた。


「俺様、フウ殿苦手だ……」


フウ殿、と慣れない呼び名だけど、ここは天使のような微笑みを返してあげた。


「おいおいおいおい、二人だけの世界に入るな。旅をするなら、俺だっている」


リクさんとジンが渋面を浮かべながら僕たちを見ていた。


「え?誰?こいつらも旅の一味なの?」


九尾が首を傾げながら壱に聞いていた。


壱はうなずいただけで、誰とは言わなかった。


「俺は、ブライド=リクだ」


「わたくしは、坊ちゃんの侍従のジンです」


「ふーん……」


九尾は興味なさそうにリクさんとジンをみた。


「ところでルウ殿、もう一人紹介しなきゃいけないやついるんじゃねぇの?」


……もう一人いるのかよ。


僕はちょっと嫌になりながらも、ルウの顔をみた。


「あ、そうだったね。玄武、でてこれる?」


ルウが首にかけてある黒い翡翠に向かっていった。


「承知した」


少し低い声がしたと思うと、部屋の中心に男の姿がでてきた。


気の強そうな男で、体つきがとてもたくましいように見えるけど、浴衣がとても似合う人だった。


「我は玄武。先ほどルウにより、蘇りました。これから旅についていく友として、よろしくお願いしたい」


スッと行儀よくお礼をした玄武を僕たちは唖然と見ていた。


「え、ちょっと、話が読めないんだけど」


僕が慌ててルウに聞くと、ルウはニッコリと笑った。


「さっき、玄武を蘇らせてきたんだ。壱と一緒にね」


壱は、ガリガリと後頭部を掻いた。


……まじかよ。
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