太陽の竜と闇の青年
「うん。あの狸親父、ぜってぇ許さない」


僕が皮肉たっぷりにそう言うと、リクさんが僕に問いかけてきた。


「フウに許嫁なんかいたのか?」


僕は顔をあげた。


多分、今はメチャメチャ不細工だと思う。


「うん。実はさ……」


僕は皆の前で髪のことと安国の王女の話をした。


リクさんとジンは渋面を浮かべていたが、壱は無表情だったし、九尾とルウに関しては爆笑していた。


「あっはっはっは!!フウ殿って、メッチャ不運じゃん!俺様は運がメチャメチャいいから、いい女とくっつく運命なんだよねー」


僕は九尾を横目でみた。


「とかいいつつ、神様のくせにいい女が見つかってないよねー。それって、フラれてるか、いい女は君に興味がないってことだよねー」


九尾は僕を睨んだ。


「う、うるせぇなぁ!!俺様は神様だからなかなかいいヤツが見つからないだけだ!!」


僕はニヤーっと笑ってあげた。


九尾はフンッと鼻を鳴らした。


「で?フウはどうするんだ?本当に安国に行かないのか」


壱が僕と九尾の間に割り込んできた。


「うん。絶対に行きたくない」


壱は僕をちょっとだけ見下ろすと、また元の位置に戻った。


まるで、自分には関係がないように。


ま、実際関係ないんだけどね。


「だが、フウがいなければ、色々と問題が起こったときに困る」


リクが眉をおもいっきりしかめた。


……僕ってそんなに必要な人なんだ。


なんか、照れる。


でも、確かに色々と不安はある。


特にルウとか。


そう考えれば、行くしかないんだけど、何か、アイツに会いそうで嫌だ。
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