太陽の竜と闇の青年
カーテンを開けるとまだ海の上だった。


和国から蒼国へ戻るためには1日と半分の時間が必要になる。


……早くサクラとラカに会いたいなぁ。


それから壱たちを紹介しないとね。


そう思ったら、かなり和国で旅の友を見つけたなぁ。


「ま、いいや。さっさと着替えて、髪を整えて顔洗って、ご飯にしよ」


私は慌ただしく身支度をした。


全部の支度が終わると、ガシッと翡翠をとって首にかけた。


ヒンヤリとした感触はもう慣れてしまった。


二つの翡翠を触りながら部屋から出ると、ドンッと誰かにぶつかってしまった。


「あ、ごめん!」


私が慌てて謝った相手は以外にも壱だった。


「謝ることでもない」


壱は私を一瞬だけ見下ろして自分の部屋へと戻って行った。


「クールだよねぇ……」


私が壱の後ろ姿を見送ってそうつぶやいたのと、フウが食堂から


「ルーーウ!!腹減ったぁー!!」


と叫ぶのが同時だった。


私は慌てて食堂に入った。


そこには、ふてくされているフウの姿があった。


「ごめん。ごめん。ちょっと部屋の前で壱とぶつかっちゃってさ」


私が謝りながらイスに腰掛けると、突然故が人型となって現れた。


「うわ!ビックリした」


私が驚きながら故をみると、故はにやぁーっと笑って私の隣の席を指さした。


「俺様も腹減った。ルウ殿の隣、座ってもいいか?」


私はイスをひいてあげながらフウに聞いた。


「フウ、それ全部食べるの?」


「もちろん。成長期だからねー。僕だって健全な男の子だよー」


そう。


フウは細身な割によく食べる。


大きくなったら絶対に太るな……。


故はというと、狐うどんをズルズルと食べていた。


私はご飯とお味噌汁という和国で食べた一般的な朝食をとった。


結構気に入ってたりする。


それに比べてフウはフランスパンにシチューを付けて、ポトフとオレンジジュースにミートソースパスタという蒼国でよく食べるものを朝から食べていた。


……炭水化物もりもりだぁ。


それをガツガツ食べているフウを見ながら、私はパクパクとご飯を食べていた。


フウを見ていると、お腹が減って来なくなる。
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