太陽の竜と闇の青年
「おいおい、フウ殿。朝からそんなに喰って気分悪くならねぇか?」


故がお箸をフウに向けた。


故は和国の神様だからか、お箸の使い方がとても上手だった。


私とフウは基本的に両方とも使える。


フォークもお箸も風国は両方とも使えるように、洋食和食と二つの食が楽しめる。


なんとそれができるのは未だ風国だけなんだって。


「人にお箸を向けちゃダメなんだよー?これ常識ー。あれ?九尾って神様じゃなかったっけ?」


夢中でフランスパンを食べているにも関わらず、フウの口はよく働く。


故はうー、と低く唸り、言い返せないと思ったのか、狐うどんが入った器に顔を突っ込んだ。


「ところで、フウ。いつ頃蒼国につくの?」


お味噌汁を飲みながら聞くと、フウは目だけを動かして、私を見た。


「さぁ?それは僕にもわからないなぁー。壱なら知ってるかもねー」


そこにタイミングよく壱が食堂に現れた。


「うっわぁ!壱殿、ビンゴじゃん!!」


故が楽しそうに手を叩いた。


張本人は意味不明という顔をしつつ食堂のおばちゃんに粗茶を頼んだ。


粗茶をもらうと、私たちのテーブルの近くにイスを持ってきて座り、短くたずねた。


「で?」


私はお茶碗を重ねた。


「蒼国にいつ頃つくか知ってる?」


すると壱は懐から何か紙切れを取り出し、ポイッと私の方に放り投げた。


「え?なにこれ?」


私が小さく折り畳まれたその紙を見て聞くと、壱は粗茶を


ズズッと飲んだ。


「時刻表」


カサカサと折り畳まれた紙を開くと、そこには時刻がかかれてあった。


「えっとー……。あと半日すればつくね。早くサクラとラカに会いたいなぁ」


私が楽しそうに笑ったのを見た故が私の袖を引っ張った。
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