太陽の竜と闇の青年

ー蒼国ー


「…また縁談か?」
俺は渋面になりながら独り言をつぶやいた。


どうせ、また金や権利目当てだろう。


無様な女たちだな。


縁談をする女の媚びを売る顔を想像して、フッと鼻で笑った。


「すぐに決着をつけようじゃねぇか」


俺は自分の部屋からでて、父の部屋に行った。


「父上。次の縁談のことで少しお話があるのですがよろしいでしょうか?」


中から、いいぞ、と言う声がして扉が開いた。


「失礼します。あの、縁談女性の調査資料をみたいのですが……」


父上は、机の上にバサッと資料をおいた。


俺はそれを手に取りながら、疑問に思ったことを父上に聞いた。


「あの……。詳しく名前等が書かれていないのはどういうことなんでしょうかね?」


すると、父上が渋面になって言った。


「さぁな。物珍しい縁談話だとわたしも思うんだが……。特に不審点がある場所は髪色についてだ。枠は小さいが、わたしたちにとっては、重要なところだろう」


父上が言った通り髪色は確かに重要だ。


しかし、そこには……会ってみればわかる、とだけ書かれていた。


「ですが父上。侍従や家来、王宮内の下民たちからの信頼といいますか、これは……仲の良さと言えばよろしいのでしょうか……。まぁ、それはかなりありますね」


すると、父上もうなずいて言った。


「うむ。王宮内の人たちと一度も喧嘩せずに過ごしているというのはとても珍しい者だな」


そのとき、バンッと勢いよく扉が開いた。


入ってきたのは、俺の侍従ジンだった。


「ジン。もっと静かに入ってこい」


すると、ジンが慌てて言った。


「あ、申し訳ございません。あ、あの、王様と坊ちゃんに急ぎの連絡がありまして」


父上も俺も眉をひそめた。


急ぎの連絡なんて早々無いことだ。


「何だ?」
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