太陽の竜と闇の青年
ジンは手に持っていたメモ帳を開いて言った。


「えっとですね、あの、坊ちゃんの許嫁の方からでして……。縁談の日を延長させてもらうとのことです」


俺は目を見開いた。


父上も驚いた顔をしている。


「はぁ!?ちょ、ちょっと待て、ジン。もっと詳しく教えてくれ!」


すると、父上が手で制して言った。


「リク、落ち着きなさい。それで?ジン。他には何と書かれてあるんだ?」


ジンは顔を真っ青にしながら言った。


「はい!あの、許嫁の方が少し旅に出るとおっしゃって家出をしたとのことです」


ポカンと俺の口が開いた。


「そ、それだけか……?」


ジンは何回も大げさに首を縦に振る。


「それだけです」


すると、父上が豪快に笑いだした。


「面白いな。今回の許嫁は。わたしは少々気に入ったぞ」


俺は恨むように父上をみた。


が、父上はくっくっと笑いながら俺に仕事を与える。


「リク。許嫁が家出から帰ってくるまでおまえはこの国の管理に回れ。つまり、今から国を巡回してくるのだ。さ、早く行くんだ」


俺は、まだ笑っている父上を背にして巡回チームのところに歩いた。

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