太陽の竜と闇の青年
「いやいや!全然いいさ!逆にうれしいかぎりだ!最近の若者はこんなものに興味はないと思っていたが……。いやぁ、やっぱりいるんだなぁ。こういうものに興味があるヤツも。俺ぁうれしいよ!」


すると、サクラとラカが近づいてきて言った。


「昔から目利きがとてもよかったんですよね」


サクラのその言葉にラカもうなずいた。


「目利きではあなたに勝った人は誰もいませんもんね」


すると、おじさんはうれしそうに袋から朱色の翡翠を取り出した。


「俺ぁ、今は上機嫌なんだ。坊ちゃんにコレやるよ」


私の両手におじさんは朱色の翡翠をおいた。


それを見つめながら私は、ほぉ……、と思わずため息をついてしまった。


「この翡翠……、とてもスゴイ。中に朱雀の色が濃い赤で描かれてあるから、これはすごく高価なものじゃないのかな?」


私は、そう訪ねるとおじさんは今にもスキップをしそうな感じに言った。


「おう!そうなんだ。これを売れば、金13枚も貰えるかなり高価なものだ!」


私は、驚いて言った。


「金13枚!?」


金13枚も貰えれば、王宮を二つ買える。


「あぁ。俺は、今うれしいからそれをやろう。なぁに、遠慮なんてしなくていい。俺はそんなに金に困っていないからな」


おじさんはそう言うけど、どうしても納得いかなかった。


「あの、おじさん……。金13枚も出せないけど……、でも銀5枚なら出せるから、せめて銀5枚だけでももらってくれないかな?」


私は、ポケットから銀5枚を取り出した。


本当は金13枚はぎりぎり出せるけど、これからの旅で使うことになるから、どうしても出せなかった。


「いやいや、銀5枚貰えるだけで上等だ!あんたらはすごくいいヤツそうだし。なにしろ久しぶりにいい目利きにあったからな!」


あの後、おじさんと別れて宿を探すことにした。


もらった翡翠は紐を通してネックレスにした。


つけたとき、ひんやりとした感触がしたけど、今はもう慣れてしまった。

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