太陽の竜と闇の青年
私は自分の服装を見てみた。


昔からあまり変わらない。


王族の娘にしては、かなり質素な服に、女性なのに、男性の服を着ている。


王宮内では、かなり有名な話だ。


「だって、男性の服のほうが動きやすいし……。王宮内以外では、きちんとした服を着ているしさ……。それじゃ、ダメ?」


私が少し困った顔してフウに聞くと、フウは三個目のくず餅を取って言った。


「別にー。僕には支障は出ないからどっちでもいいと思うけどさ、あんまり父さんをいじめたらだめだよー」


私は、少しだけ笑って言った。


「いじめてないよ。まぁ、ちょっと困らせてるぐらいじゃん。それに、今までは男性の服を着ていても良いって言ってくれてたのに、突然女性の服を毎日着ろ!って言う父のほうが悪いんじゃんか」


するとフウは小さく頷いてくれた。


「まぁー、ルウは外ではかなり礼儀正しくしてるよねー。言葉遣いもきちんとしてるし、髪もきっちりとしている。じゃぁ、なんで父さんはいきなり王宮内で女性の服を着ろって言ったんだろー?」


確かに。


私は、王宮内では言葉遣いがふつうの子とは違って、誰にも敬語を使わず、皆と仲良く喋っているが、他の王宮に呼ばれた時など、弟のフウにも敬語を使っているぐらい丁寧に接しているし、髪もきちんと結い上げている。

今のように髪をくくっていない訳ではない。


髪のことでふと半年前のことが頭を横切った。


長髪だったフウが突然短髪に変えたのだ。


この事件には、かなり王宮内では問題になった。


が、フウは、自分が切りたかったから切った、と言った。


母も父もそれを認め、事件にはすぐに終止符が打たれたが、ずっと気になっていたことがあった。

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