太陽の竜と闇の青年
「……!?」


それをみたフウがあははー、と笑って冗談に言った。


「シャナはそんな趣味があったの?しかも壱ねー。ちょっと考えたほうがいいんじゃないー?強いて言うならクラウドとか顔がかわいい男の子のほうがいいと思うよー」


シャナと俺はフウを睨んだ。


フウはそれをみて笑いながら肩を竦めただけだった。


「で?何だ?」


俺が睨むようにフウをみるとシャナは俺にズイッと顔を近づけてきた。


「貴様に頼みたいことがある」


「却下」


どうせロクでもないことだ。


頼まれても了解はしないほうがいいだろう。


ぐぐぐ、とシャナの掴む力がだんだんと強くなってきた。


「真剣な話なんだ。頼む」


いつものシャナではない雰囲気を感じ取って無意識のうちにうなずいていた。


「聞くだけ聞こう」


俺がそう言ったのが驚いたのか、フウもクラウドも故も驚いた顔をしていた。


その反面、シャナは嬉嬉とした顔になった。


「そうかそうか!!では、頼みたいのだが、ルウの好きな人を聞いてくれ!」


…………絞め殺してやろうか。


俺は目を眇めてシャナをみた。


フウは深くため息をついている。


「却下だ」


俺が冷静に事を伝えると、シャナはがっくりと肩を落とした。


そこにフウがきてその肩をポンポン、とたたく。


「ま、そんな事だろうと思ったけどねー。残念だけど、壱はそーゆー事に興味がないんだよー。ほんと残念だったね」


ちっとも残念そうに言わないフウをキッと睨んだシャナはバッと駆けだした。


「半泣きだったぞ」


白虎が走り去ったところを見ながらポツリとつぶやいた。


俺とフウは微笑を浮かべた。
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