太陽の竜と闇の青年
私が横に退くと次はフウが降りてきた。


フウは地面を手に着くことなく、余裕の表情で地面に降りてきて私たちをみてニヤァっと笑った。


「二人ともラブラブ中?」


それを聞いたラカとサクラはごほんっ!と咳払いをしてフウに言った。


「若様、早くそこから退かないと壱様の邪魔になりますよ」


それを聞いたフウは、おっとこれは失礼、とニヤニヤしながら言って素早く退いた。


それと同時に壱がヒラリとクラウドを担ぎあげて降りてきた。


クラウドは、ひぎゃぁぁぁぁぁ!と叫んでいる。


高所恐怖症かな?


それに比べ壱は無表情だ。


着地もなんなく成功した。


降りてきた壱に近づいたフウはニコニコと笑いながら壱に話しかける。


「そういえば壱の黒装束久しぶりにみたなぁ。だってずっと浴衣だったじゃん?やっぱ壱には黒装束が似合うよねー」


黒装束なんだぁ……。


さすがに色は言ってもらわないと分からないな……。


まったく、困った目だ……。


私が眉をしかめているのに気づいたのか、壱がスッと目を隠した。


「……あっ」


私が声をあげると、壱はフッと息をはいた。


「ご、ごめんっ!」


私が慌てて謝ると壱は肩を竦めた。


まるで、こんなこと何でもない、とでも言うように。
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