太陽の竜と闇の青年
「ルウ、どうしたのさー」


突然謝った私を不思議そうにフウがみてきた。


何って言えばいいのか迷っていると壱が口を開いた。


「ルウがこけそうだったんだ。それを俺が支えただけだ」


フウはバッカだなー、と言ってあははははー、と笑った。


二度も助けてもらっちゃった。


「ありがとね」


一応お礼を言ったら壱は軽くうなずいてくれた。


ま、反応があっただけマシかな?


私はフッとあたりを見回した。


「ハヤトー!お久しぶりー!」


そこで見つけたハヤトに駆け寄って撫でると、ハヤトは私の頬に鼻面を押しつけてきた。


「ふふ、大きくなった?」


ハヤトは少しだけど確かに大きくなっていた。


毛並みも前よりも光っているっぽいしサラサラだ。


私が褒めるとハヤトはぶるるる、と鼻をならした。


「よっと」


私がハヤトに跨ったのをみて、ラカが私たちに声をかけた。


「少し名残惜しいですが、急がなくてはなりません。ここでシャナ様に見つかってしまえば元も子もありませんからね」


ラカはサクラを後ろに乗せてトウマの腹を蹴った。


そのあとにフウの乗ったラッシュが続き、最後に私のハヤトと壱の陽が続く。


後ろでリクやカリナが手を振っていた気がしたけど、もう振り返れない。


振り返ってしまったらまた戻りたくなるから。


「また来るからね」


私はポツリとつぶやいた。
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