太陽の竜と闇の青年

~砂漠の民編~

次の日、私たちは順調に歩を進め、無事に砂漠へと向かうことができ、今……、


「うっひゃぁー!!すっごぉぉい!!」


一面砂の世界。


それは私が一度もみたことのない光景だった。


やっぱり世界は広い。


と言っても見えないからクラウドやフウの心を読みとってみたんだけどね。


実際本当にすごいのか、フウが、ほぅ、と感嘆のため息を漏らした。


「これはすごいね……。ビックリだよ……」


「僕、この景色すっごい好きだなぁ……」


二人とも声が出せないでいた。


故、白虎、サクラ、ラカ、壱は砂漠をみたことあるのか、微笑を浮かべているだけだった。


「うしっ!砂漠の民のいる集落に行くかぁ!」


私がハヤトの腹を蹴って走らせると、皆楽しそうに乾いた笑い声をあげた。


「あっづぅぅい……」


「あっつぅぅい……」


私とフウが皆に遅れをとらせて馬を進めていた。


とにかく暑いのが私とフウは大嫌い。


「お二人とも遅いですよ。さっさと進めて来てください」


ラカの後ろに乗ったサクラがこちらを振り向いて一括したけど、私たちはどうしてもさっさと進むことができなかった。


白虎と壱なんか、汗ひとつかかずに悠然としている。


「だぁぁぁ!!イラつく!!!!」


フウが両手を天に仰いだ。


フウは暑いとイラついてしまう質らしい。


私も上を見上げる。


たぶん、雲一つない空。


普段ならうれしいけど、暑いからうれしくない。


ぜんっぜんうれしくない。


フウがラッシュの腹を蹴ると、ラッシュは早足になった。


「あ、ちょっと待ってよ!」
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