太陽の竜と闇の青年
しかし……フウはティファナの言葉に爆笑した。


「あっはっはっは!!!」


俺たちはフウが壊れたのかと思い、疑わしくフウをみた。


フウは笑いすぎで涙がでた目を拭った。


「あぁ。ごめん。ティファナさん言っておくけど僕はシルバを止めれないよ。だって、僕はシルバを殺そうとしている側だから」


[殺そうとしている側だから]その言葉を強調したフウはラカをどかして、ティファナの前に座った。


ティファナは思わぬ言葉に耳を疑っていた。


「いいか、ティファナさん。僕はそこらへんのお人好しじゃない。僕は、ルウを連れ去った奴を殺して、ルウを連れ戻しに来たんだ。そして、ルウを連れ去ったのはシルバ。ルウはアレでも一国の王女。それを連れ去るなんて、いい度胸してると思わない?たとえヘルの拒否できぬ指令でルウを連れ去ったのだとしても、罪をしたことには変わりはない。僕はシルバを殺す。だからさ、頼むなら僕じゃない人にしてよ。シルバは強い剣士?そんなものどうでもいいさ。僕だって剣には自信があるから」


フウはそう言うと立ち上がり、テントからでていった。


その時のフウの顔は怒ったときの怖い顔だった。


あれはヘルに怒っているのか、シルバに怒っているのか、それとも自分自身に怒っているのかよくわからなかった。


すると、白虎が突然立ち上がった。


「今回は俺もフウに賛成だ。俺は我が主を連れ去ったことを許すことはできない。たとえそんな過去があってもだ。第一、俺には貴様の娘など赤の他人だしな」


いつも以上に厳しく、低い声の白虎の言葉に俺も少しだけ身が竦んだ。


白虎がテントからでた後ティファナの顔をみると、また涙目になっていた。


しばらく沈黙が続く。
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