太陽の竜と闇の青年
「フウさ、何で短髪にしちゃったの？まぁ、似合っているからいいけど……。許嫁もいたのに……」


そう。


フウは長髪から短髪に変えたことによって、許嫁に結婚を破棄されたのだ。


「あぁ。僕が髪を切ったのは、その許嫁と結婚したくなかったからねー。ま、僕の予想通り、
相手方は結婚を破棄してくれたからね。すっごく嬉しいよー」


私は少し驚いたけど、すぐに笑って言った。


「フウらしいね」


フウもははは、と高笑いした。


「まぁねー。男性は髪が長いほうがいいって言うけどさ。そんなのおかしいじゃん？髪の毛だけで結婚が左右されるって、すっごい笑い話だと思わない？」


私は、こくこく、と頷いた。


「女性もそうだよ。髪が長いほうがいい！っておかしいもん」


私は、自分の髪をさわってみた。


フウと同じ白銀の髪色で一本一本が細いため、手入れがとても大変だ。


「まぁ、ルウが髪を伸ばしているのは、母さんの真似でしょ？大体は予想がつくよー。昔からルウは母さんの真似をしてたがる子だったしさー」


私は小さいときから母を尊敬して、ずっと母のようになりたいと思っていた。


だから、母が髪を伸ばしているのを真似して、今まで一度も切らなかった。


まぁ、整えたりはしたけど……。


「母は髪が長いから。綺麗だよね。母の髪」


私がうっとりとした口調で言うと、フウが小声で言ってきた。


「母さん大好きって子のことを、西洋の言葉では、マザーコンプレックス、略してマザコンって言うんだってー」


私は、少しだけ感心したように言った。


「へぇ！！フウは物知りだね」


すると、フウは笑っていった。


「目利きと裁縫はルウに負けるけどねー」


二人で、あはははは、と笑っていると、サクラの声が響いた。

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